セールスフォース・ドットコムの挑戦、IoTの価値を「顧客体験価値」へ変える:「Salesforce IoT Explorer」が目指すもの(1/2 ページ)
セールスフォース・ドットコムが国内で本格的に提供を開始した「Salesforce IoT Explorer」。IoTデータとCRMの連携でビジネスにもたらされる価値とは何か。
セールスフォース・ドットコムは、2018年3月15日にIoT(モノのインターネット)データと同社の顧客管理システム(CRM)である「Salesforce CRM」を連携させる新製品を国内で本格的に提供開始すると発表した。これにより、IoTデータとSalesforce CRMを高度なコーディング技術なしで簡単に連携させることができるようになった(関連記事:「セールスフォース・ドットコム、『Salesforce IoT Explorer』を国内で本格提供開始」)。
センサーから収集した膨大なデータを営業やマーケティング、新製品開発にどう生かせばいいのかと悩む企業は多い。本稿では、IoT活用による顧客エンゲージメント強化について、記者向けのセミナーで語られたセールスフォース・ドットコムの考え方を紹介する。
IoTとCRMの間にあるギャップを埋める
自動車、制御機器、家電、ロボットなど、あらゆるモノがインターネットにつながることで、膨大なデータを収集できるようになった。米大手調査会社HIS Technologyは、2013年時点で約158億個だったIoTデバイスが2020年には約530億個までに増大すると予測している。一方、Cisco Systemsによれば、現時点で現実世界に存在するモノは1兆5000万個あるのに対し、インターネットに接続されているモノは約100億個にすぎず、99.4%はインターネットに接続されていない。つまり、IoTが進展する余地は、まだまだあるということだ。
セールスフォース・ドットコムがこのほど国内で本格的に提供開始したIoT Explorerは、IoTが収集する膨大なデータをSalesforce CRMとスムーズに連携させる仕組みを提供するサービスだ。同社マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャーの伊藤哲志氏は、IoT活用を模索する多くの企業に共通する課題を次のように語る。
「デバイスからセンサーデータを集めるのは簡単になったが、集めたデータをCRMとスムーズに連携させることができなければ顧客とのエンゲージメントに活用できない。現在のIoTのインフラとCRMアプリケーションとの間には大きなギャップがある」
そのギャップを埋めない限り、IoTデータをマネタイズできないということだ。
IoTで収集したデータを顧客情報と掛け合わせることで、より深く顧客を理解し、具体的なアクションにつながる。製品が壊れる前に現場に行く、顧客が売り場に近づいたらメールなどでクーポンが飛ぶといった形で、今までにない迅速なサービスが可能になる。
セールスフォース・ドットコムはこれまで同社のPaaS(Platform as a Service)である「Heroku」をベースにさまざまなIoTソリューションを提供してきたが、より簡単にIoTを活用したいというニーズを受け、今回のIoT Explorerの提供に至った。これにより、企業は既存のCRM環境をそのまま活用して、ローコード、つまりプログラミングを必要最小限に抑えてIoT導入に踏み出すことができる。
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