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1000万人が利用する恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」、AIが良縁を創出する仕組みとは?恋愛×IT(1/2 ページ)

マーケティングも恋愛も肝心なのはマッチングの精度。勘と経験と運頼みでなく良縁を創出する恋愛・婚活マッチングサービスの裏側を探る。

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 2012年10月にサービスを開始した恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs(ペアーズ)」は、2019年1月に累計会員数が1000万人(台湾と韓国の会員も含む)を突破した。

 忙しいイマドキの男女の縁結びをサポートするアプリの裏側では、高度なAI(人工知能)・機械学習のアルゴリズムが動いている。Pairsの開発を手がけるエウレカのプリンシパルエンジニア森川拓磨氏(Head of Development, Pairs Japan)によれば、Pairsで機械学習を活用している領域は次の4つだ。

  1. 検索アルゴリズム:ユーザーのプロファイルデータや行動データを基に最適な相手や属する「コミュニティ」を提示するもの
  2. 投稿監視:24時間365日、ユーザーの投稿が不適切なものではないかを監視するもの
  3. 画像認識:最適な画像を判別し、優先的に表示するもの
  4. 不正ユーザー監視:行動データなどを基に不適切な利用を目的としたユーザーの排除を目的とするもの

 このうち2〜4は、運用効率化を目的としたものだ。一方、1の検索アルゴリズムは、サービスの価値を左右するマッチングの精度に関わる分野であり、事業成長に直結する。オンラインデーティングサービスと呼ばれるこのビジネスで重要なのは、会員数もさることながら、会員同士のマッチング、すなわち良い出会いの機会がきちんとあるかどうかなのだ。

Pairsのマッチングの仕組み

 ここで、Pairsで理想の相手と出会うためのステップを簡単に紹介しよう。同サービスは登録後、自分が良いと思った相手に「いいね!」を送ることから始まる。ここで「いいね!」を受け取った相手に自分のプロフィールを読んでもらい、「いいね!ありがとう」をもらうと「マッチング」が成立する。以後、マッチングした相手とメッセージのやりとりを行い、関係を深めていくというわけだ。

条件を入れて検索し、気に入った相手に「いいね!」を送る
「いいね!ありがとう」をもらうと「マッチング」が成立する

 Pairsの場合、女性会員は無料でメッセージ機能を利用できるが、男性会員は最初のあいさつメッセージ以降の機能利用は有料となる仕組みを採用している。さらに、月30回という送信制限があるため、やみくもに「いいね!」を送ることは効果的ではない。積極的に「いいね!」を送ればマッチングの確率は高まるが、相手のプロフィールをよく読んで自分との共通点を確認してから送ることの方が好感度は高い。

 そこで、会員同士が「いいね!」を送り合うことのできる相手を効率的に探せるよう、Pairsではプロフィールに加え、同じ趣味や価値観を持つ相手を探せる「コミュニティ」に参加することを推奨している。このコミュニティの中で得られる情報は、メッセージ付きの「いいね!」を送るときのあいさつの糸口にできる。

オンラインデーティングサービスの価値を上げるために必要なこと

 希望条件を考慮して好みの人を上位表示するだけならば、さほど難しいことではない。しかし、前述したようにPairsにおいては「いいね!」を送っても「いいね!ありがとう」をもらえなければマッチングは成立しない。

 「いいね!」とマッチング数はそれぞれ伸びるに越したことはないが、現実には両者は必ずしも比例しない。むしろトレードオフになりやすい。故に「『いいね!』が5ポイント増加し、マッチング数が1ポイント増加する」というような、全体的にバランスのいい条件の組み合わせを見つけることが求められる。しかし、これはなかなかの難題だ。森川氏はその理由を次のように語る。

 「『いいね!』が増えたのにマッチングが減るような場合、結果がすぐに明らかになりません。これには忙しくてログインしていなかったユーザーが数日後に『いいね!』を見つけて反応することもあるなど、サービスの特性上の問題があります。検索アルゴリズムはPairsのビジネスにクリティカルなものですから、気軽に変更することが難しいのです」

 そこで導入したのがDataRobotだ。誰もがより良い予測モデルを作り、ビジネスに展開できる「AIの民主化」を提唱するDataRobotは、機械学習のワークフローを自動化するプラットフォームを分かりやすいユーザーインタフェース(UI)で提供している。これをPairsの検索アルゴリズムの精度向上に役立てようと、2016年8月にPoC(概念実証)が始まった。会員がさまざまな条件を設定して相手を検索するとき、単なるルールベースを超えて真に相性の良さそうな人を上位に表示する仕組みを作ろうというのである。


エウレカの森川拓磨氏

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