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トレタがデータから導き出した「繁盛店」の作り方サブスクリプション化する飲食業で成功するには(1/2 ページ)

1980年代からほぼ進化が止まっていた飲食業界に変革を起こせるか。飲食店向け予約管理システムを提供するトレタの挑戦を紹介する。

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 Web接客ツールからCX(顧客体験)プラットフォームへとアップデートした「KARTE」。同製品を提供するプレイドは、2018年9月4日に初の大型プライベートイベントとなる「CX DIVE2018」を開催した。本稿では数あるセッションの中から、飲食店向け予約管理システムを提供するトレタ代表取締役 中村 仁氏の講演内容を紹介する。

中村 仁氏
中村 仁氏

飲食業界の「失われた30年」

 「飲食業界はPOSレジによる革命以降の30年間、何も変化がない。失われた30年の後れを取り戻し、飲食業界をアップデートするのがわれわれの使命だ」

 中村氏は冒頭、飲食業界の現状をそう語り、危機感をあらわにした。

 飲食業は店舗の数もそこに従事する人の数も多い。しかし、生産性の低さが長年の課題となっている。総務省の「平成26年経済センサス」を見ても、飲食業の「雇用力」は他の業種に対して圧倒的に高いのに対し、「稼ぐ力」は低い。価格競争による利益率の低下や新規顧客依存による疲弊など、さまざまな要因がからみ合って「もうからない」ことが常態化してしまっているのだ。

 中村氏によれば元来、日本の飲食店は家業として運営されていたケースが多かったが、1970年にPOSレジが登場したことで、大きな変化が起きたという。大規模なチェーンオペレーションや大箱の運営が可能になり、飲食は一大産業に成長した。市場規模は15年間で7兆円から21兆円に拡大した。POSレジの登場によって商品の管理とブラッシュアップが可能になり、飲食業界は「商品の時代」を迎えた。どのような料理をどのような価格で出すのかという、商品による差別化を追求し続け、業態開発でしのぎを削ってきたのだ。

 しかし、差別化し尽くした先に待つのは、市場の細分化だ。顧客の嗜好が高度化し、ニッチなニーズに応えようとすると、店舗の規模は小さくなっていかざるを得ない。1970年代に繁盛していた店は店舗が広く多数のメニューがあったが、今では4坪の焼き鳥屋が繁盛する時代だ。もはやこれ以上分解できないところまで店舗の粒度が細かくなっている。

商品の時代から関係の時代へ

 中村氏が訴えるのは、商品の時代から「関係の時代」へのシフトだ。そこに必要なのは新規性ではなく共感だ。ポイントは「店舗目線」から「顧客目線」への変化だという。

 「店の価値観やストーリーがあって、それに共感する顧客が集まってくる。近い価値観を持っている者同士がくっつくと、関係性は永続的になっていく。今後は新規集客に依存するのではなく、リピーター、常連を増やしていくための施策がメインになる。収益の指標も、その日の客単価ではなくLTV(顧客生涯価値)を重視するようになる」(中村氏)。

 関係性を重視する実験的なサービスの事例として中村氏は「DINING OUT」と「polca Cafeteria」の事例を紹介した。

 博報堂DYメディアパートナーズ傘下で地域価値を創造する専門会社のONESTORYが実施するDINING OUTは、日本のどこかの野外空間で一流シェフがオリジナルコンセプトに沿ったメニューを提供する一夜限りのレストランだ。1人当たりの予算は10万〜15万円だが、即時完売するほどの人気だという。

 もう1つのpolca Cafeteriaは、パナソニックとロフトワーク、カフェ・カンパニーが共同で開設した100BANCHのプロジェクトだ。CAMPFIREのフレンドファンディングアプリ「polca」を活用して資金を募り、夢を持つ人々を集めて無料で食事を提供し、交流を促す場を作り出そうとする試みだ。

 2つの事例で提供される本質的な価値は、料理そのものではなく、もっと大きな顧客体験にある。

 「これまでの飲食業界では『料理』『店舗』『店員』という3つの要素が不可分のパッケージとして存在していたが、それが分解されつつある。これからは、料理ではなく『食』、店舗ではなく『場』、店員ではなく『つながり』という枠組みで考えなければいけない。外食産業はコミュニティービジネスとしての側面を強め、一過性ではなく永続的な関係性を構築する必要がある」(中村氏)。

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