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「動画広告を運用する」とは、そもそもどういうことなのだろうか?動画広告で成功するクリエイティブ設計(1/2 ページ)

ブランディング目的で活用する動画広告をどう運用するか。そのそも広告を運用するとはどういうことか、あらためて考えてみたいと思います。

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 デジタルを主要なチャネルとしてきたダイレクトマーケターからすると、「デジタルには運用が必要だ」といわれても、何を今さらと思うかもしれません。しかし、テレビを中心としたマーケティングに従事してきたマーケターにとっては、そもそも運用という概念がピンとこないことが多いと、実際の商談でも感じています。そこで今回はまず、広告を運用するとはどういうことかという基本的なところから、あらためて説明していきたいと思います。

ブランドクリエイティブを運用するということ

 もともとWebにはテレビと同じ純広告(バナー広告やメール広告など)しか存在していませんでした。しかし、GoogleやYahoo! JAPANの検索連動型広告を筆頭にWebの広告は事前買い付け型の純広告からリアルタイムに都度買い付けを行う運用型広告に一気にシフトしていきました。

 リアルタイムに都度買い付けを行うとはどういうことか。これを理解するには、株式市場をイメージしてみるといいと思います。

 株式市場においては、株式の価格が企業への評価や期待感に応じて変動します。同様に、広告にもクリエイティブ(成果物)ごとに評価や期待感を媒体から付与され、それによって常に広告の表示単価は変動しています。

 例えば最後まで見てもらえる確率が高い広告には高い点数が付けられ、点数が高ければ競合よりも安い価格で広告を表示させることができます。実際には点数の付け方は媒体ごとに異なり、もっと複雑なのですが、いずれにしても、テレビにおける買い付けと異なり、同じ予算でもクリエイティブの点数によって配信可能量や効率が大きく変動する点は押さえておきましょう。

 また、運用型広告においては、1本のクリエイティブを配信開始した際にそのクリエイティブの配信可能母数は一定量に決められているため、どんなに点数の高いクリエイティブだとしても、そのまま放っておくと効率が徐々に悪化してしまいます。そこで、1つのクリエイティブを当てる(表示する)だけでなく、点数を一定に保つために、効果に応じて複数のクリエイティブを入れ替えながら常にフレッシュに保つ必要があります。

 ここまで読んで、何と面倒くさいんだと思う人もいるかもしれません。ただし、この運用環境を無視して戦ってしまうと、極端なリーチ効率の悪化を招いたり、最悪の場合は広告がほとんど表示されなかったりすることもあります。実際にクリエイティブを運用した場合のリーチ単価と運用しなかった場合のリーチ単価のデータを比較してみましょう。

リーチ単価比較
リーチ単価比較《クリックで拡大》

 運用の有無で5倍も単価が変わってしまう。これがWebの怖さでもあり魅力でもあると私は感じています。広告フォーマットがバナー(静止画)から動画に一気にシフトしているこの時代ですが、成功のために丁寧な運用が必要であることは変わりません。動画は制作工数がかかるからといって運用をおろそかにすることはできないのです。

運用型広告の時代に制作側が変わらなければいけないこと

 運用型広告の時代に対応するため、必要なことは何でしょうか。まず私が提言したいのは、映像や企画制作に対する考え方を変えることです。

 動画広告におけるクリエイティブ制作においては「テレビのような珠玉の1本をひねり出す」という考え方は、今すぐ捨ててください。

 といっても、単にクリエイティブを大量生産して「作っては捨てる」ということではありません。そうではなく、綿密なコミュニケーションストラテジーにのっとったWebのクリエイティブ設計と企画・制作が必要だということです。テレビCM用の素材を取りあえずカスタマイズしてWebにも配信するといったやり方では、Webの運用環境で戦うことは厳しいといえます。

 もちろん、珠玉の企画やアイデア、コンセプトをひねり出すことは非常に重要です。しかし、出したものがこれまで以上に速いスピードで飽きられている時代に、1本の映像で勝負することを前提としたマスクリエイティブの作り方は変えていく必要があると考えています。

マルチクリエイティブ戦略

 デジタルにおいて必要なのは、複数ターゲットに応じて企画を複数本制作する「マルチクリエイティブ」です。これを用意する手法はさまざまですが、ここでは設計における1つのポイントを共有したいと思います。

 マルチクリエイティブを設計する上では、ターゲット設定や訴求の切り口ももちろん重要ですが、それ以上に重要なのが、実際に配信する広告クリエイティブをリアルタイムにマイナーチェンジ(運用)し、効果を最適化することです。

 マイナーチェンジを前提とした制作の仕方として、動画の企画・構成をブロック分けして考えるという方法があります。運用時にマイナーチェンジしやすいよう、あらかじめ大量にクリエイティブを生成できるようにしておくのです。

 下記の図のように動画の構成を「Attention」「Contents」「CTA」などとブロック分けし、それぞれのブロックごとにマイナーチェンジ用の素材のパターンをできるだけ多く撮影時に用意します。そして、効果を検証をする中で素材を入れ替え、ブロックを入れ替えたり動画の尺やサイズなどを変えることで、広告効率を高水準に保った運用を実現します。

ブロック
動画の構成をブロック分けしてみる《クリックで拡大》

 検証のイメージを動画に収めました。以下を参照してください。

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