GDPR対策もリアルタイムマーケティングも、まずデータ統合から Tealium幹部が語る:データドリブンな企業の取るべき選択肢(1/2 ページ)
2018年5月25日、いよいよ欧州でGDPR(EU一般データ保護規則)が施行される。企業はこれにどう向き合うべきなのだろうか。
Tealiumの日本法人であるティーリアムジャパンは2018年5月21日、EU(欧州連合)のGDPR(一般データ保護規則)に関して記者向けの説明会を開催。Tealium CMO(最高マーケティング責任者)のアダム・コーリー氏が、グローバルに企業のデータオーケストレーション(統合)ツールを提供する同社の見地から、GDPRへの有効な対応策について語った。
GDPRがいよいよ施行
2018年5月25日に施行されるGDPRは、欧州経済領域(EEA)におけるデータ主体(消費者)の権利を強化する目的で採択された法令だ。データ主体の権利には、以下のようなものがある。
- Access(アクセス権)
- Rectification(訂正の権利)
- Erasure(削除権)
- Restriction of processing(削除権)
- Notification(処理の消去と制限を報告する義務)
- Data portability(データポータビリティーの権利)
- Right to object(異議権)
- Decision making(決定権)
GDPRは違反した場合の制裁金が高額であり、EUに拠点を持たない企業であっても、EUに在住する個人の情報を取り扱っていれば適用対象となる。個人データには名前や住所、電話番号などはもちろん、Webサイトを通じて取得したCookieやIPアドレスなども含まれるとされ、多くの日本企業、とりわけデジタルマーケティングを推進する企業にとっては、当事者意識を持たざるを得ない重要トピックといえる。
タグマネジメント管理ツールのベンダーとして創業したTealiumは、当初から一貫してデータ保護に積極的に取り組んできたが、GDPR施行に当たりユーザー企業の課題解決を促進するために、同社の製品を組み合わせ、コンサルティングを含めた対策支援サービスを提供している。
ユーザーと企業の間で散らばるデータを一元管理する
マーケティングにおいて、個々の消費者に最適なおもてなしを実現するために、パーソナライゼーションがますます重要になっている。まずはデータにアクセスし、相手のことをよりよく知ることから始めなくてはならない。しかし、その人から継続的にデータの提供を受けるには、信頼が前提となることは言うまでもない。信頼を得る上で、データ保護の取り組みは必須だ。
ユーザーと企業をつなぐさまざまなチャネルにおけるコミュニケーションでは、多くのベンダーが関わり、それぞれが個別にデータを保有している。大手ベンチャーキャピタルのKleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)の年次調査「2017 Internet Trends」によれば、マーケティング領域においては平均91のベンダーが関わっているという。
「Tealiumは消費者と企業のハブになって、各ベンダーのデータをまとめ、正しいインサイトを導く手伝いをしている。Tealium Universal Data Hub(読み:ティーリアム ユニバーサル データ ハブ。以下、Tealium UDH)は、ベンダー中立でシングルカスタマービューを作り出す」と、コーリー氏は語る。
Tealium UDHはタグマネジメント技術をベースにしたリアルタイム顧客データ統合ツールだ。Tealium UDHを導入することで、企業は、さまざまな顧客接点ごとに分断されたデータを、複雑なシステム連携を必要とせずシームレスに一元管理できるようになる。
データの一元管理はGDPR対応を考える上でも重要だ。データ主体である消費者がさまざまなベンダーに分散した自分のデータにアクセスするのは容易なことではないからだ。
Tealium UDHを使うことで、どのベンダーがどのようなパーソナルデータを保有しているのかが、分かりやすくなる。のみならず、要求があればすぐに上書きや削除もできる。
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