データの「サイロ化」に挑むTealiumの戦略とは?:タグマネジメントから「ユニバーサルデータハブ」へ(1/2 ページ)
デジタルマーケティングの取り組みが進み、施策が増える一方で、各システムに散在し断片化したデータの一元管理が求められるようになっている。解決の鍵になると期待される「ユニバーサルデータハブ」とは何か。
Tealiumが日本法人であるティーリアムジャパンを設立したのが2014年9月。以来、日本市場でのプレゼンスの拡大に伴い、ビジネスの主軸をタグマネジメントシステムから、さまざまなマーケティングテクノロジーベンダーの製品を連携させ、マーケターがより詳細に顧客を理解するためのデータ連携基盤の提供へと立ち位置を変えてきた。現在の同社は全世界で750社の顧客企業を持ち、3万を超える企業のWebサイトで製品が利用されている。本稿では、2017年6月6日にティーリアムジャパンが開催した記者向け説明会の内容から、同社のビジネス概況と今後について展望する。
ユニバーサルデータハブの中核に位置するタグマネネジメント
まず、Tealiumアジアパシフィックのゼネラルマネージャーを務めるアンディ・クラーク氏は、現在の同社について「業種や規模を問わず、マーケティング部門が全てのデータをさまざまなツールからタイムリーに集めるユニバーサルデータハブ(UDH)の提供を目指している」と説明した。
Tealiumが提唱するUDHは、「Tealium IQ」「Tealium AudienceStream」「Tealium DataAccess」の3つの製品で構成する。UDHの中核はTealium IQが提供するタグマネジメント機能だ。デジタルマーケティングにおける「タグ」とは、さまざまなマーケティングテクノロジーが提供している機能を自社のWebサイトに取り込むための仕組みである。タグは機能をパッケージ化した小さなプログラムのようなものであり、Webページ(HTML)に埋め込むことで、ページを開いた訪問者の行動追跡やコンテンツ配信などの機能を実行する。GoogleやYahoo! JAPANも無料のタグマネジメント製品を提供しているが、クラーク氏は「タグマネジメントの価値と必要性を理解した大企業は、データガバナンスやデータセキュリティといった要件を満たすTealiumの製品に乗り換える」と、UDHが大企業向けに必要不可欠なテクノロジーであることを強調した。
ユニバーサルデータハブを提唱する理由
では、UDHは単なるタグマネジメントとどう違うのだろうか。クラーク氏は「UDHにはタグマネジメントに顧客データプラットフォーム(CDP)とデータマネジメントプラットフォーム(DMP)が含まれる」と説明する(図)。CDPとは、タグマネジメントで収集したビジターデータを他の社内システムのデータと連携させて顧客プロファイルを作り、適切なアクションを促すための基盤だ。
UDHとプライベートDMPの違いは何か。プライベートDMPはCookieをベースにしたサードパーティーデータを含む。これに対してTealiumのUDHはファーストパーティーデータの管理に特化している。DMPは「30代」「男性」「東京」「シャツ」などの情報を提供できるが、閲覧者がWebブラウザ終了時にCookieを削除するように指定していると、それらのデータは消えてしまう。これに対してTealiumが扱うのは、企業がこれまでの顧客とのやり取りの中で蓄積したデータであり、常に正確である。そのため、企業が一人一人の顧客プロファイルの詳細化に役立てることができるというのだ。
また、Tealiumはビジターデータだけでなくコールセンターのデータやメールキャンペーンのデータのような、自社データとのリアルタイム連携も可能だ。リアルタイム連携ができるのは同社のUDHがオープンなAPI経由でデータソースに接続できるからだ。ビジターがページに来訪した瞬間にデータ連携ができるため、適切なタイミングで顧客に対するアプローチが可能という。
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