日本における動画マーケティングのトレンドと成功法則:Advertising Week Asia 2007レポート(1/2 ページ)
動画マーケティングで成功するにはどうすればいいのか。本稿ではFacebookで反響を呼んた動画広告コンテンツ上位5000件の分析結果から得られた知見を紹介する。
2017年5月29日〜6月1日、世界のビジネスリーダーが集結し、マーケティング、広告、テクノロジー、エンターテインメントについて探求するコミュニケーションの祭典「Advertising Week Asia 2017」が東京で開催された。
本稿ではUnruly Media(以下、アンルーリー)日本法人の代表取締役である香川晴代氏による「日本て話題度の高い動画広告、成功の理由とは?」と題した講演の概要を紹介する。
動画のエンゲージメントを計測するKPIは「シェア率」
アンルーリーは2006年に英国で創業した広告テクノロジー企業だ。動画コンテンツがもたらす感情分析の技術に強みを持ち、「動画広告をより良いものに変革していくためのテクノロジーとサービスを提供する」というミッションを掲げている。
同社ではビッグデータから感情を損ねないコンテンツを生成し、届けるべき適切なターゲットに配信するプラットフォームを持つ。また、ブランドセーフティ―やビューアビリティに配慮したプレミアムメディアに出稿し、ROI(投資対効果)に優れた広告投資を実現する。『Ad Age』が選ぶ広告主100社中91%がUnrulyを採用し、2015年からはNews Corporation傘下となり、世界20拠点で事業を展開。日本では2015年10月に事業をスタートしている。
アンルーリーではこれまで、全世界の3兆ビューのデータを蓄積してきた。また、広告配信実績は2万件で100億ビューに上る。さらに、Harvard Business Schoolなど著名な研究機関と協業して消費者200万人の動画への心理反応データを保有。この他、生体認証技術を取り入れた動画広告調査2万件、3万人の動画視聴動向調査も行っている。
動画広告が急成長する中で、多くの広告主はその効果測定と効率的な運用という課題を抱えている。香川氏は、動画コンテンツの質と消費者がどれだけエンゲージしたかを測る有効な指標として動画シェア率(SNSにおけるシェア数÷動画視聴数)を挙げる。この数字は、金銭で買うことのできないシェアをいかに効率的に獲得できたかを示すものだからだ。
日本における動画シェア率は前年比44%と高い伸び率を示している。これは、日本のブランドが消費者とエンゲージするスキルを向上させている証左ともいえる。
業種別に見た高シェア率コンテンツ
アンルーリーは2017年初頭に、日本市場でシェア数の多い3業種(自動車、日用消費財、テクノロジー)の上位5000件について動画シェア率の調査を実施した。
自動車の動画シェア数は約260万。3業種の中でも伸び率が最も高く前年比112%になる。同業種の中で最もシェア数の多いのは日産自動車で、自動車全体の33%を占める。日用消費財においては同業種内でのシェア(SOV:Share of Voice)が最も高いのはコカ・コーラで17%、テクノロジーではパナソニックが24%だった。また、KDDIとパナソニックで2016年のシェア数トップ10中7件を占めた。
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