「B2Bに広告は不要」って本当でしょうか?:【連載】電通デジタルが考えるB2Bマーケティングにおける広告アプローチ 第1回(1/2 ページ)
見込み客を管理し、育て、商談につなげるプロセスはB2Bマーケティングの核となるものですが、購買ファネルの入り口を広げる努力もまた重要です。この連載では、広告を中心とする認知獲得の方法をお伝えします。
近年、B2Bビジネスにおいてもマーケティングの必要性がクローズアップされることが増えてきました。とりわけ、デジタルマーケティングの領域では、マーケティングオートメーション(MA)やCRM、DMPといったツールが注目され、それらを活用した手法としてアカウントベースドマーケティング(ABM)など、注目すべきテーマが次々と出てきています。しかしながら、ひと口にB2Bビジネスといってもその幅は広く、1つのマーケティングの形がどの業種にも効くということは決してありません。また、各種ツールとそれを活用した手法は「広告に頼らないマーケティング」であることを前提に紹介されることがありますが、認知拡大という取り組みが不要になるわけではありません。そして、そこにおいては依然として広告の活用が有効であるケースは少なくないのです。
そのような前提を踏まえた上で今回は、特定のツールや手法に焦点を当てるのではなく、あらためてB2Bにおけるマーケティングの意義について整理し、広告の役割ついて述べようと思います。
これまでのB2Bマーケティングに欠けていた視点
そもそも、なぜ今B2Bの領域においてマーケティングへの取り組みに関心が高まっているのでしょうか。その理由として、次の3点が挙げられると考えています。
- 日本のB2B企業において、さらなる成長を目指し新規市場への参入や、新規製品の投入が必要となっていること
- 買い手側のデジタル化に対応する必要があること
- 限られた営業リソースで見込み客(リード)や顧客を効率的にフォローする必要があること
2点目と3点目は、どちらかと言うと自社に興味を持っているリードの情報を、MAなどを活用してきちんと管理し、育成していくというリードマネジメントやリードナーチャリングの概念の範ちゅうにあると捉えられます。一方、1点目については、より根本的なところからマーケティングについて考える必要があります。
あまり概念的なことに深入りするつもりはありませんが、ここでマーケティングの基本についてごく簡単におさらいしてみましょう。ピーター・ドラッカーの言うマーケティングの理想とは「販売を不要とすること」です。これは言い換えると、誰を(Who)ターゲットに、何を(What)伝えるのか、それをいつ(When)、どこで(Where)、どのように(How)見せていくのかということを適切に設定することができれば、モノは自然に売れていくという考え方です。この考え方は基本的にB2CにもB2Bにも同じように当てはまるはずですが、実際にはB2Bにおいて販売すなわち営業活動が不要になるということはほとんどありません。また、それを目指してきたわけでもないように思います。つまり「マーケティングの視点」の欠如です。
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