デジタルマーケティングとは何か:【連載】電通デジタルが教えるデジタルマーケティング 第1回(1/2 ページ)
この連載では、デジタルマーケティングの課題に対して解決策とヒントを教える書籍『デジタルマーケティング 成功に導く10の定石』から一部を抜粋し、デジタルマーケティングの基礎をおさらいする。
『デジタルマーケティング 成功に導く10の定石』について
デジタル社会が日々進展する中で、デジタルを活用したマーケティングはあらゆる企業の将来を左右する重要課題です。しかし、「何からはじめればいいのか」「上司にどうやって説明すればいいのか」「取り組み始めたけれど、本当に効果を上げているのだろうか」などなど、多くの担当者を悩ませているのも事実です。そこで本書では、当該領域のプロフェッショナルたちが、事例や図版を使いながらマーケティング課題にあった解決策とヒントをお教えします。
※本稿は電通デジタル『デジタルマーケティング 成功に導く10の定石: 電通デジタルのトップマーケッターが教える 簡単に分かる売れ続ける仕組みをつくるツボ』(徳間書店)から一部の内容を抜粋・編集して転載しています。
デジタルマーケティングとは何かについての理解は、人によって同じではありません。それどころか、相当に異なっています。そのために、自分が話しているデジタルマーケティングと相手のそれとがずれてしまって、デジタルマーケティングが難しく感じられたり、議論が混乱したりしています。そこでまず、デジタルマーケティングとは何かをはっきりとしておきましょう。
デジタルを手段としてマーケティング目的を果たす
デジタルマーケティングとは、デジタルを活用してマーケティング目的を果たす活動です。ここでいうデジタルとは、デジタルデバイス(装置)やデジタルテクノロジー(技術)、デジタルメディア、デジタルデータを総称しています。
デジタルデバイスとは、PCやスマートフォン、タブレット、センサーなどです。例えば、宅配ピザ店が注文用アプリを顧客のスマートフォンにダウンロードしてもらい、ピザ注文の頻度を高めたとしましょう。この施策は、スマートフォンというデジタルデバイスを活用しているのでデジタルマーケティングの1つです。
デジタルテクノロジーはどうでしょうか。例えば、リターゲティングと呼ばれる技術があります。自社Webサイトを訪問した人に対して広告を掲出する技術です。アドネットワークは、Webサイトやソーシャルメディアなどの複数の広告メディアに対して広告をまとめて配信する技術です(※)。このようなデジタル技術を活用したマーケティングがデジタルマーケティングです。
※(参考文献)菅原健一、有園雄一、岡田吉弘、杉原 剛『ザ・アドテクノロジー:データマーケティングの基礎からアトリビューションの概念まで』(翔泳社、2014)
メディアとは、新聞やテレビなどのメディアだけでなく、消費者と企業とが接触する方法全般を指しています。SNSのブランド公式アカウントや自社Webサイト、あるいは、オンラインストアなどは全てデジタルメディアです。ただし、テレビもデジタル化したメディアですが(地上波テレビは2011年にデジタル放送に完全移行しました)、昔からあったメディアのためかデジタルメディアに含めないのが普通です。
最後がデータです。デジタルテクノロジーやデジタルメディア、デジタルデバイスが企業や消費者に利用されるとさまざまなデータが残されます。そして、それらデータを活用すれば、マーケティング効果を高める工夫が可能です。スマートフォンを使っていれば、その所有者がいつどこにいたかという時刻つきの位置情報が取得されます。価格比較サイトやレビューサイトに書き込まれた評点や感想、写真なども、サイトの運営者によってデータベースに格納されています。これらのデータを活用して、消費者をより深く理解したり、顧客の好みや関心事を把握して対応したりする活動もデジタルマーケティングの重要な部分です。
デジタルマーケティングを始める際には、常にデジタルマーケティングの広がりを念頭に置くことが大切です。専門家のアドバイスを受けるときも、他部門との連携を検討するときも、いま広い領域の中のどこの話をしているかをはっきりと認識しておかなくてはなりません。デジタルマーケティングを語る時、ある人はデバイスの話をし、別の人はデータ活用を強く主張します。皆、自分の関心があること、詳しいことをデジタルマーケティングだと考えていますから話が通じにくく、理解しづらいのです。
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