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B2Bマーケターの皆さん、お客さまへの接触機会を逃していませんか?【連載】春の短期集中講座「初めてのマーケティングオートメーション」 第1回(1/2 ページ)

B2B企業におけるマーケティングオートメーション活用はますます加速しています。ここであらためて、MA活用の基礎を学んでみませんか。

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 日本のB2Bマーケティングにおいて、2014年ごろから話題になっているマーケティングオートメーション(MA)。現在では導入企業も増え、さらにMA活用は加速していくと予想されます。そんな中、「今さらMAのことなど、教えてもらわなくても知っているよ」と思う方がいる一方で「今さらMAのことなど、周囲に聞くに聞けない」という方も少なくないのではありませんか。

 新しい年度を迎え、初めてこの領域の業務に携わる方も少なくない季節。ここでMA誕生の背景からMAの役割、活用のために重視すべきことなど、3回にわたってポイントを解説します。


今、B2Bの業界で何が起きているのか

 インターネットでの情報検索が当たり前になった今の時代、業務に必要な情報の検索についてもそれは例外ではありません。B2B企業にとってのお客さまも自分自身で情報検索後、商材にある程度の目星を付けた状態で、営業へのコンタクトを試みるといった行動が増えています。

 米調査会社のCEBによると、B2B企業においてはサービスについて問い合わせをするお客さまは、その時点で既に購買プロセスの60%を完了しているとのこと。この比率はさらに高まり、2020年には85%を超えると予測されています。


図1:B2B企業の顧客購買プロセスの変化《クリックで拡大》

 つまり、「テレマーケティングなどによって営業がコンタクトを取り、実際に顧客を訪問してさまざまな情報提供を行いながら商談を進めていく」という従来の売り方だけでは、製品選定の候補にも上がらず、営業機会を逸する可能性が高くなるということです。逆に、インターネットでの検索時にお客さまと接触することで、機会損失を減らせたり、新規顧客を獲得するチャンスが増えたりすることになります。

 顧客企業の購買プロセスは変化しています。それに対応していくことが、現在のB2Bマーケターに課せられた課題です。

マーケティング部門の働きがさらに重要に

 それでは、顧客企業の購買プロセスの変化に対応するために、どのような取り組みをすべきでしょうか。

 顧客企業の購買プロセスの変化がB2B企業にもたらす最も大きな影響は、インターネットを活用したマーケティングの重要性の増大にあります。営業担当者が接触する前に、お客さまはインターネット上で情報をどんどん手に入れているため、インターネット上でのコミュニケーション手段を考える必要があります。営業担当者の接触前・商談化前のお客さまとのコミュニケーションを担うマーケティング部門の役割は、以前よりずっと重要になってきています。

 一方で、「マーケティング部門と営業部門の連携が不十分」であるというのは、B2B企業の中でよく聞かれる課題です。セミナーやイベントなどでリードを獲得しても、営業がフォローしてくれない。営業担当者側から見ると、マーケティング部門から渡されるリードはすぐに案件化しそうにないために非効率と感じられるなど……。

 実際、マーケティングと営業の間に隔たりがあるのが現状です。調査会社Sirius Decisionsによると「営業とマーケティングのデータ連携が不十分だと思う」営業担当者は63%、「営業とマーケティングの業務連携が乏しいと思う」担当者は58%という結果が出ています。

 マーケティング部門より営業部門が担う役割が重視される傾向は、日本においては特にB2B企業に顕著なようです。営業部門の発言権の方が強かったり、マーケティング部門が引き渡した見込み客をフォローするかどうかは営業部門の判断によるところが大きかったりするのではないでしょうか。

 しかし、この関係性は変える必要があります。調査会社のLeap Jobは「コールドコール(※)が顧客訪問につながる比率は2%」というデータを出しています。前述の通り、顧客は営業担当者との接触前にかなり多くの情報をインターネットから入手しています。従来は営業担当者が提供していた各種情報が、営業担当者を介さず、お客さまの手に渡っています。「取りあえず来て話を聞かせて」という状況がなくなってきているのです。

※コールドコールとは、獲得したリードに対し、育成や興味・関心度の判定をしないまま電話営業すること。

 このような状況を打開するには、まず営業部門とマーケティング部門の連携が必要です。これからのB2B企業の顧客アプローチは、営業部門とマーケティング部門が役割を分担しながら、同じゴールに向かって連携していくことが不可欠です。

 マーケティング部門は見込み客を獲得するだけでなく、獲得した見込み客が必要としている情報を適切なタイミングで提供するなどコミュニケーションをとり、購買検討レベルを引き上げ、確度の高い見込み客を選別して営業部門に引き渡さなければいけません。

 そして営業部門は、マーケティング部門から引き渡された見込み客の疑問点・懸念点を払拭するためのコミュニケーションを取り、クロージングするのです。

 そういった役割分担により、営業機会の損失を減らし、新規顧客とのアポイント獲得率を向上させることができます。

 マーケティング部門の強化と、マーケティング部門・営業部門の連携強化。これが、顧客企業の購買プロセスの変化に対応するために、いまB2B企業側が取り組むべきポイントです。

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