“老舗”ネット企業が動画でリブランディング――ジャパンネット銀行の前例なき挑戦:「ネコ会議」「カンフーレストラン」など(1/2 ページ)
21世紀の幕開けとともに「ネット専業」の看板を掲げてデビューした企業が今、ブランド再生に挑んでいる。年月とともに知名度は上がったが、後発が続々と登場する中、もはやネット専業というだけでは先進的なイメージを訴求できない。どうするのか。
2000年10月に開業し、16年目を迎えたジャパンネット銀行。インターネット専業銀行の草分けとして、同社はこれまで、ネットオークションサイト「ヤフオク!」の決済手数料無料化や公営競技のインターネット投票に対応するなど、先進的な金融サービスを提供してきた。
しかし、開業当初は革新的に見られたサービスも、15年の時を経れば“老舗”と呼ばれる。今ではメガバンクもインターネットバンキングに対応し、インターネット専業というだけで特色を見せることは難しくなった。同社が2016年9月に電通マクロミルインサイトと実施したブランド調査によると、認知度こそ約60%と健闘しているものの、純粋想起や利用意向といった、実際の新規口座開設につながる数値においては低い水準にとどまったという。
この結果に危機感を覚えた同社では、2015年よりリブランディングに取り組んでいる。その打ち手の1つが、「YouTube」を使ったWeb動画広告の配信だ。第1弾として2015年12月末に公開された「ネコ会議」は、視聴回数67万回を記録した
YouTubeで完全視聴率17%
動画ではデスクの上、引き出しやキャビネットの中、そして会議室に至るまで、オフィスのあらゆるところからネコが飛び出してくるという、ありえない光景が広がる。予備知識なしに再生したならば、エンディングクレジットが出てくるまで銀行の広告だとは想像もつかないだろう。悪くいえばブランドイメージとは全くマッチしていない。しかし、それこそがこの施策の狙うところでもある。
この動画を仕掛けたのは、ジャパンネット銀行で執行役員を務める是井 真氏だ。是井氏はジャパンネット銀行のリブランディングの命を受け、2014年7月に出資企業の1つであるYahoo! JAPANから出向してきた。「これまでなじみの薄かった若いユーザーにジャパンネット銀行の意外な一面を動画で訴求したいと考えました。しかし、テレビCMを展開するのは身の丈に合っていません。その点、Web動画広告はこれまで他の銀行が取り組んでいない領域でもありました。そこでインターネット専業銀行として、われわれのフィールドで力を持つYouTubeを活用し、ユーザーリレーションを図ることにしたのです」(是井氏)
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