「動画広告のKPI」はデータが取れるからこそ混乱しがち、どうすればいい?:【連載】サイバーエージェント流動画広告入門 第2回(1/2 ページ)
適切なターゲットへリアルタイムにリーチする手段として注目されるWeb動画広告。企業はいかに取り組むべきか。サイバーエージェント オンラインビデオ総研の酒井英典氏が解説。
前回「大手広告主の4割が既に開始、今すぐ動画広告を始めるべき理由)では、動画広告市場の現状と動画広告の手法について、テレビCMとの比較なども交えつつ説明しました。第2回は、「動画広告のKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)」について、解説したいと思います。
テレビCMと異なりブランド系の指標が計測可能
デジタル広告の技術は日進月歩で、さまざまなデータがますます大量に取れるようになっています。しかし、それ故に本当に追うべき数値が何なのか、混乱してしまうことがあります。動画広告も今まさにそのような段階に差し掛かっています。
従来のテレビCMで追っていたような「広告認知率」「ブランド想起率」「利用購入意向度」なども、デジタルならばふわっとしたアンケートや質問による調査でなく視聴者の行動履歴をベースに数値化することができます。
最初期は、Web広告の予算インパクトが小さかったことで、効果をうまく計測できないという状況がありましたが、技術と手法の革新がありました。その1つが、動画広告に追跡ビーコンを埋め込む「シングルソースパネル」による検証です。接触ビーコンを活用することで「接触者/非接触者の効果比較」が、より科学的に実現できるようになりました。これによって配信規模が比較的小さい状態でも、動画広告の認知系KPIが計測可能になりました。「テスト配信」といえるような予算でも、検証ができるようになったわけです。さらに、「年代別の効果比較」や「エリア別の進捗(しんちょく)比較」などもできるようになりました。 比較的安価な予算でも効果計測ができるようになったこと、そして大体において「効果があった」といえる結果が出てきたことは、動画広告予算の拡大に大きく貢献した要因だと思います。
従来のオンライン指標も計測できる
無論、動画もデジタル広告ですから、静止画広告の世界でずっと使われているCPM(インプレッション単価)、CPC(クリック単価)、CPA(コンバージョン単価)、TCPA(直接的なCPAに、コンバージョンに至るまでに経由した間接的なCPCも合算した数値)なども計測可能ではあります(スマートフォン向けゲームを中心に、結構良い数値が出ている事例もあります)。
こちらについても、「年代別の比較」や「エリアの比較」「クリエイティブ素材別の比較」は当然のように可能で、われわれの会社が毎日PDCAサイクルを回して広告運用している分野です。
上記のように、KPIとして追えそうな指標が大変多くなっているため、「一体どの指標を追うのが正解なのか」「取りあえず全部追ってみよう」といった話になりがちです。に何もかも追っていくというと聞こえはいいですが、逆にいうと明確に追うべきKPIがない状態になって、結局うまく運用できないという事態になりかねません。
「課題はさまざまかもしれないけれど、運用上は明確に追う項目を設定しておく」という姿勢がとても大事だと思います。
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