(後編)「送客という言葉自体がプロダクトアウトである」――トイザらスの顧客主義の真髄:【連載】O2Oマーケティングに挑む
前編で紹介したトイザらスの「シームレスリテイリング戦略」は、専門店にしかできないホスピタリティを徹底的に追求した結果、生まれたものだった。では、「シームレスリテイリング」は現場でどのように機能しているのだろうか? 日本トイザらス 執行役員 eコマース本部長 飯田健作氏に聞いた。
専門店にしかできない真のホスピタリティ
小川 シームレスリテイリングを成功させるためにはさまざまな要素があると思います。価格設定も重要ですが、それに加えて、例えば、店頭のホスピタリティという変数も売り上げを大きく左右しますよね。
飯田 そうですね、強く同意します。しかしそうは言っても、価格差が一定パーセントよりも離れてしまうと、オンラインの他社で買われてしまいますので、何%ぐらい離れると離脱されるかというのは、常日頃、研究をしています。実店舗を持っているオムニチャネルプレーヤーであればみんなやっていることではありますが。
ただ、おっしゃる通り、それとは別の世界があって、特にわれわれの場合は専門店ですから、培ってきたさまざまな知見を強みとして活かしていくべきだと思っています。例えば、「このベビーカーとこのベビーカーで売価格差はこれだけありますが、こちらにはこういう機能があります。でもお客さまの求めているものからすると、こちらで十分だと思います」と、ちゃんとお客さまにフェアに言えるかであるとか、そういうことです。
とすると、その専門店の強みを、シームレスなわれわれのオンラインでも展開していくときに、売価差がけっこう離れていても、そうではないものが生まれ得ると思っています。そして、その1つはやはり品揃えです。
小川 なるほど。具体的にはどういうことでしょうか。
飯田 ロングテールで何でも揃えるのではありません。130ページもめくらなくて済む、20ページに本当にいいものだけが集まっている、そんな商品展開をしているということが、お客さまにすぐ伝わるかどうかということ。これにはかなり神経を使っていますし、情熱を持ってやっています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 米ケンタッキーフライドチキン、新製品に対する顧客の反応を共有するWebキャンペーンを実施
米ケンタッキーフライドチキン(以下、米KFC)は新製品の販売に関し、購入者の感想や商品写真を掲載するFacebookコンテストを開始した。コンテスト期間は2013年6月8日まで、毎週のコンテストの勝者にはTシャツとギフトチケットが贈られる。また大賞受賞者には、賞金1000ドルのほか、来年度以降のオンラインサイトソーシャルメディア広告への掲載チャンスが与えられるという。 - ブログ、この10年――ステマ騒動が炙り出したブログの存在価値
ブログとは何なのか? 本格的な普及が始まった2003年以降の10年間の歩みを振り返った。先頃世間を騒がせたステルスマーケティング騒動は、当事者であるブロガーたちにとってもブログの存在価値を改めて考える契機となったようである。 - SPARK、ケンタッキー・フライドチキンのO2O促進キャンペーンを開始
SPARKは11月18日、同社が提供する「循環型O2O」のコンサルティング案件第1弾として支援する日本ケンタッキー・フライドチキンのキャンペーン開始を発表した。 - 第1回 オンライン×オフラインプロモーションの“キー”としてワークしはじめたNFC
NFC(Near Field Communication)技術とソーシャルメディアを活用したプロモーションメソッド「リアルいいね!」プロモーションの具体的な事例を紹介しながら、O2O(オンライン・トゥ・オフライン)プロモーションの可能性を考える。 - 第2回 NFC(近距離無線通信)が可能にしたサービス――欧米の先進事例
国内ではNFC搭載スマートフォンの機種自体が少なく、導入事例も限られたものになりがちだが、米国や英国、フランスなどの欧米諸国ではすでに、住民の生活に密着したサービスが展開されている。 - 第3回 国内企業のNFC活用プロモーション最新事例
第1回では、国内のO2Oプロモーション事情やNFCを活用したプロモーションとその効果を、また第2回ではNFCの基礎知識や海外でのNFCを活用したO2Oの最新展開について紹介した。当コラムの最終回となる今回は、今後日本でも普及が予想されるNFC対応スマートフォンを連携させた国内企業のO2Oの取り組みを紹介する。