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(前編)顧客思考を追究するトイザらスの「脱オムニチャネル」【連載】O2Oマーケティングに挑む

徹底した顧客重視の視点により、トイザらスは「オムニチャネル」から「シームレスリテイリング」へと考え方を変えた。2014年7月にリニューアルした同社のECサイトを中心に、同社の顧客に向けた各種取り組みを日本トイザらス 執行役員 eコマース本部長 飯田健作氏に聞いた。

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オムニチャネルではなく「シームレスリテイリング」


グランドデザイン&カンパニー 小川和也氏

小川 オムニチャネルにおいては、特に日本では「オンラインtoオフライン」という言葉に象徴されているように、一般的に送客にオンラインを使うという考え方が固定化されていることが多いと思います。御社ではどのように捉えられていますか。

飯田 必ずしもどちらからどちらかではないと思っています。われわれは「オムニチャネル」ではなく、「シームレスリテイリング」という言葉を使っています。お客さまから見たときに、店舗、オンラインストア、どこであってもシームレスに、トイザらス、ベビーザらス全体でサービスしていくという姿勢です。

小川 「シームレスリテイリング」が、社内の共通言語ということですね。

飯田 以前は「オムニチャネル」という言葉を使っていましたが、これは企業目線の言葉ですよね。そもそも「チャネル」という概念自体、お客さまからすると関係のないことです。

小川 とても素晴らしい考え方ですね。それでは、2014年7月に大幅にリニューアルされたECサイトについては、どのような経緯があったのでしょうか。


日本トイザらス 執行役員 eコマース本部長 飯田健作氏

飯田 2000年に当時の運営会社であった「トイザらス・ドット・コム ジャパン(2006年日本トイザらスが吸収合併)の創業により、eコマースが立ち上がりましたが、実際には2012年頃から、グローバル全体でオムニチャネルの考え方が本格的になりました。もっと店舗との間にシナジーを利かせるべきだという議論が盛んになってきたというのが、この1〜2年です。

小川 実際、今回のリニューアルのためにどれくらいの期間準備をされたのですか。多くの企業さんのお話を伺っていると、オムニチャネル化を目指しても、体制や人材の問題で、実行までの間にものすごいタイムラグあるケースが多い印象です。

飯田 けっこうな突貫工事だったと思います。ただし、2つに分けて考えた時に、まず、土台としてのプラットフォームについては、どうしても開発のリードタイムがかかるので、必然的に普通の企業と同じだけ時間がかかりました。実際には受注/決済等に関する基本のシステムを入れ替えが4月に終わり、まずはソフトオープンとしてスタートしました。

 一方で、その土台の上でお客さまを中心に考えたオンラインのお店に作り替えるために、お客さまのリアクションを見ながらサイトの見た目や機能性に関してスピード感をもって大幅に改善を繰り返し、同時に商品の仕込みにも注力しました。そして7月のグランドオープンのタイミングで、一気にお客さまと市場全体に対してプレゼンスをあげていきました。

小川 いわゆるグロースハックというか、お客さまに使っていただきながら成長させていく方が理にかなっているということですね。

飯田 もちろん、大失敗はしないように仮説に基づいてテストしながら進みますが、「とにかくやってみよう、早くローンチしてみよう」というカルチャーに急速に変わってきています。

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