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成果を上げているマーケターは数字にうるさいスペシャルインタビュー

統合型広告運用プラットフォームを提供するマリンソフトウェアは3月27日、デジタルマーケティングに携わる担当者206名を対象にした「デジタルマーケティングに関する調査」の結果を発表した。この調査は、「成果を上げている/上げていない」という点に着目し、その理由と日常進めているデジタルマーケティング施策、身に付けている知識/付けたい知識などについて詳しく聞いている。調査の詳細を同社 プロダクトマーケティングマネージャーの土谷薫氏に聞いた。

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マリンソフトウェア プロダクト マーケティングマネージャー 土谷薫氏

1.成果を上げているデジタルマーケターとそうでないマーケターを分ける要因

 まず、マリンソフトウェアが実施した今回の調査結果について、概要を見ていこう。成果を上げている/上げていないデジタルマーケターの間で決定的に差を付けている要因は、「定量的な指標(KGI:Key Goal Indicator)を設定しているかどうか」で、成果を上げているマーケターの42%がKGIを設定しているのに対し、上げていないマーケターでKGIを設定している人は15%に過ぎなかった。デジタルマーケティングにおける課題としては、「効果測定手法や目標の妥当性」「スタッフのスキル」を挙げているが、実際にスキル習得のための勉強時間をみると、成果を上げているマーケターと上げていないマーケターとでは2倍以上も開きがある。

 また、成果を上げているマーケターの33%は「週1回、運用広告の最適化を週に一度以上行う」など、積極的にデジタルマーケティングに取り組んでいる。これに対して、成果が上がらないマーケターで運用型広告の最適化に取り組んでいるのは9%ほど。こうした姿勢の違いが、成果の差に現れているといえる。

 一方で、「KGIを設定していない」とするデジタルマーケターは、全体の68%に上っている。これは前述した「効果測定手法や目標の妥当性」を課題と上げるマーケターが多いことからも分かるように、大多数が「そもそも何をもって成果を測るのか分からない」という状態にあることが示された。

 以下、マリンソフトウェア土谷氏が今回の調査結果から見えた課題とその対策を明らかにしていく。

2.デジタルマーケターの大多数が「成果指標を設定していない」と回答。その理由は?

―― 今回、デジタルマーケターの成果に関する調査を実施した理由を教えて下さい。

土谷 デジタルマーケティングの現場を「成果」という側面から掘り下げることで、成果の差を分けている要因は何なのか、そしてその要因に対し当社ができることは何かを明らかにしたいと考えました。マリンソフトウェアは、もともとリスティング広告の効率的な運用を実現するプラットフォームとしてスタートしましたが、現在はもう少し広く、オンライン広告のための統合運用管理プラットフォームであり、ソリューションを提供している立場です。正直な話、オンライン広告やリスティング広告というと、「よく分からない」「代理店に任せている」とおっしゃるマーケターの方が多いのは事実です。しかし、マーケティング分野でこれだけデジタル化が進む中、デジタルソリューションをうまく活用していくことが求められているのもまた事実であり、もし「活用できていない」というのであれば、その要因を深く掘っていくことが重要だと考えました。

―― 今回の調査で明らかになった課題は何でしょうか。

土谷 今回の調査で最も衝撃的だったのは、大半のデジタルマーケターが「定量的な成果指標を持っていない」と回答していることです。その一方、「KGIを設定している」というマーケターの方に、具体的な指標を伺ったところ、「売り上げ金額」(63.6%)、「新規顧客数」(53.0%)、「新規問い合わせ数/見込み客数」(37.9%)という結果が出ました。もともと「指標がない」という状態が多いことに加え、具体的な指標を持っている方に聞いてみると、売り上げ金額といったかなり実ビジネスに近いところが求められている。このギャップにこそ、今のデジタルマーケティングの現状が表れていると思います。

3.デジタルマーケティングは過渡期。大多数は、技術や手法、何ができるのかが分からなくて悩んでいる。

―― そのデジタルマーケティングの現状とは、具体的にはどのようなことでしょう?

土谷 一言でいえば「過渡期」ということです。私個人の経験から言えば、かつてデジタルが浸透していなかった時代のマーケティングは、金額や数値といったものより、施策を実施したことによる「変化」を測定し、良い変化が起こっていれば、それが実際の売り上げに貢献しているという捉え方をしていました。売り上げや新規顧客数というのは、マーケティングの中でもむしろアカウント営業やダイレクトセールスに近い担当者が見ていたもので、こうした意味からいえば、今回の調査は、いわゆる広告やブランドマーケティング分野の方でなく、営業系の方も多く回答なさっていたと考えられます。つまり一言で「デジタルマーケター」とは言っても、その職種はさまざまなのです。

 もう1つ、過渡期と言えるのは、「デジタルマーケティングで得られる何を指標としていいのか分からない」という方が多いと言えるからです。デジタルマーケティングの弊害とも言えるのですが、それこそさまざまなデータが取れる分、何を指標にしたら良いのか分からない。そうした戸惑いが、今回の結果に表れていると思います。

―― そうした状況に対し、マーケターの方はどのように対処しようとしているのでしょうか。

土谷 やはり、指標の測り方や知識やスキル不足を課題に挙げる方が多いです。例えば「デジタルマーケティングにおけるスキルや知識であなたが習得できていると感じるものは何ですか?」という問いへの答えとして、「特になし」と回答している方が37.4%にものぼり、衝撃的な結果でした。ただ考えてみれば、ソーシャルメディア1つ取っても、次々に新機能が出てきますし、アドテクノロジーも日々進化しています。フォローアップできているのかどうか分からない。そうした状態なのではないでしょうか。

4.運用型広告は市場や顧客を知るため有効な手段。マリンソフトウェアはマーケターの仮説力を応援する。

―― 今回の調査では、ある意味、デジタルマーケティングに関わる方々の「戸惑い」が顕著に表れた形ですね。これに対し、マリンソフトウェアはどのような解決策を提示していくのでしょうか。

土谷 おっしゃる通り、広告主の方は「何が起きているのか分からない」状態にあると思います。技術トレンドや手法が次々と新しくなる中、そうした手法をどのように活用すればいいのかも分からないし、さまざまなデジタルマーケティング施策を実施しても、その結果何がもたらされたのかが分からない。そこでポイントとなるのは、「仮説力」です。

―― 仮説力とは何でしょうか。

土谷 デジタルマーケティングは、得られるデータも膨大ですし、手法もさまざまなので、選択肢がとにかく多いです。「いろいろなことができます」と言っているのは、何もできないのと同じで、マーケティング施策を実施する広告主側が主体となって取捨選択しないと動きません。効率的に施策を進めるには、ある部分は自動化する必要もありますし、次の効果的な一手を打つためには、基となるデータを活用しなくてはならない。だから「自分たちは、何を知りたいのか」「何が分かるのか」「そのインサイトが得られたら、どのような手段が考えられるか」という仮説を常に考えてゆく力が必要なのです。実はその入り口として、リスティング広告は非常に優れています。

―― リスティング広告のどのような点が優れているのでしょうか。

土谷 リスティング広告は、お客様がどのような興味や関心を持っているか、その「言葉(検索ワード)」から読み取ることができます。とても能動的な広告手段です。さらにいえば、そうした意思を持っている人がどのような人物像なのか、どのチャネルを通ってきたのかが分かれば、次の戦略が立てやすくなりますよね。必要なデータをすべて統合できれば、さらに効率よく分析できます。リスティング広告というと、デジタル広告の一手段でしかありませんが、その施策がもたらす価値を理解できれば、単なるPR以上の効果が期待できます。そのため当社では、自社のソリューションをリスティングに限定せず、「運用型広告をマネジメントするためのプラットフォーム」と位置付けていますし、今年1月にはアクティブユーザーのオーディエンスデータを持っているBlueKaiとの提携を発表し、デジタルマーケティングの付加価値向上に向けたソリューションを展開しています。この戦略提携の発表後、国内の大手代理店の方を始め、多くの企業の方からお問い合わせをいただきました。すでに分かっている企業は、運用型広告で得られたデータと第三者データを組み合わせることで、面白いことができると理解しているのです。

 今回の調査でも、成果を上げているマーケターは「週1回以上、運用広告の入札最適化を行う」方が多いことが分かっていますが、入札の動きを見れば、ターゲットとするオーディエンスの動きや市場の流れがつかめます。デジタル広告の場合、オペレーションの煩雑さを苦手とするマーケターもいらっしゃいますが、操作そのものは分からなくても、そこから得られる結果を活用すれば、効果的で面白い施策のアイディアがわいてくるはず。マリンソフトウェアは、そこを応援していきたいと考えています。

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