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花王がクローズ型ユーザーコミュニティにソーシャルログインを採用した理由企業のWebコミュニティ運営

花王のネットコミュニティ「GO GO pika★pika MAMA」のリニューアルついてインタビューした記事です。リニューアルに伴って、ソーシャルログインを取り入れた背景やブランド戦略上のネットコミュニティの位置づけなどを聞いています。

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ガイアックス ソーシャルメディア ラボ

 花王は、妊娠中の女性や新生児を持つ母親を対象としたネットコミュニティ「GO GO pika★pika MAMA(以下、ピカママコミュニティ)」を大幅にリニューアルした。クローズドだったコミュニティはなぜオープンになったのか。その背景を、SNS室グループリーダーの板橋万里子氏にうかがった。

ピカママコミュニティをリニューアルした理由

インタビュアー(エンゲージメント・ファースト 原裕、エンゲージメント・ファースト 田中陽子、メンバーズ 江口奈々子、ガイアックス 井出一誠) どのような理由からピカママコミュニティをリニューアルしたのでしょうか?


花王 グローバルメディア企画部門 デジタルコミュニケーションセンター SNS室 グループリーダー 板橋万里子さん

花王(板橋万里子さん) ピカママコミュニティをより外に向けて広げていく必要性を感じたのが理由の1つです。ピカママコミュニティの運営は2007年のオープンから5年が経過しています。すでにソーシャルメディアの普及など、お客さまのネット利用環境やニーズの変化をキャッチアップするのが急務の状態でした。今回のリニューアルを機に、クローズ型のコミュニティから、Facebook/Twitter/mixiのアカウントでログインできるソーシャルログインを採用し、会員登録する場合にはこのいずれかのアカウントで認証していただくようになりました。

■ピカママコミュニティリニューアルのポイント

 1.ソーシャルログイン(Facebook/Twitter/mixi)を可能に

 2.コンテンツのソーシャル化

 3.ポイント制の導入

 4.Facebookページの立ち上げ


 リニューアルでは、先ほど申し上げたFacebookなどソーシャルメディアでのログイン機能を含め、大きく4つのポイントがありました。ソーシャルログインに対応することにより、新規利用者への間口を広くし、他のママさんたちの中にある「情報をシェアしたい」というニーズの広がりに対応できると考えました。また、ソーシャルログインを採用することで、ソーシャルグラフ(ソーシャルメディア上の人間関係)を活用できるようになりました。すでにソーシャルメディア上で友達になっている人をピカママコミュニティ内で探し、招待することができます。


リニューアルを機にFacebook/Twitter/mixiでログインが可能に

 ソーシャルログインに踏み切るべきか、最初は社内で議論がありました。ユーザーの中には「ソーシャルメディアのアカウントを持ちたくない」「ソーシャルメディアとピカママコミュニティを連携させたくない」ユーザーもいると思います。一方、ピカママコミュニティでは、以前より利用者であるママさんたちから「愛用している製品について語りたい」という声もいただいていました。

 賛否が分かれ、ソーシャルログインだけで会員登録を済ますことができるプライベートコミュニティはまだ少ない状態でしたが、ピカママコミュニティには社内でのイノベーションの役割があると考えていたため、挑戦することになりました。現在は、「メリーズ(花王の紙おむつ)のフォトコンテスト」をピカママコミュニティ内で開催しています。今後もソーシャルメディアと親和性が高いブランドとのコラボレーションを通じ、ママさんたちに製品やキャンペーンなどについて広く語ってもらう機会を作っていけたらと思っています。


冬のもこもこ★スマイルフォトコンテスト

一般消費財メーカーにとってコミュニティの重要性が高まっている

インタビュアー 花王社内ではコミュニティをどのように位置付けているのでしょうか。

花王 もともとピカママコミュニティは、新米ママの不安なことや心配なことを先輩ママや同じ月齢のベビーを持つママとおしゃべりすることで解消できる「場」を提供することが目的でした。新米ママ同士がつながり、おしゃべりを楽しんでいただく中で、ママたちの身近にある困ったことや「あったらいいな」というご意見に対し、製品を通してお応えしていけたら、という思いが込められています。

 メーカーと消費者とのコミュニケーションはブランドや製品を中心とした「モノ」軸で、アテンション型のコミュニケーションです。競合との「モノ」の差別要素をいかに効果的に伝えて認知していただくかが重要です。そのため、(プロモーションは)より効果的、効率的な手法を用いていくことになります。一方でそもそもブランドや商品がコモディティ化した成熟市場では「モノ」軸だけでのコミュニケーションでは難しくなっています。

 ピカママではコミュニティモデルを採用していますが、これは「モノ」だけではコミュニケーションできない「コト」軸を「ヒト」軸で共有することを意図しています。「コト」軸においてはすぐに売り上げに結びつくわけではありませんが、消費者と長くお付き合いすることが可能です。ストック型のコミュニケーションとも言えると思いますが、花王ブランドをストック型で消費者と共有したり共創したりしていく上でコミュニティは重要です。

クローズからオープンへ

 もともとコミュニティはソーシャル、つまり社交的なものだと考えています。しかし従来の「登録者のみ、ニックネームでのコミュニティ」は純粋に良質な意見が出てくる反面、口コミを活用するのが難しい状況が続いていました。メーカーとしてはどちらかというとリサーチ的な意味合いで活用していたのです。近年、ソーシャルメディアの登場で共有、共創の時代となり、よりダイナミックかつオープンな仕組み、すなわちソーシャルログインやシェアなどのソーシャル機能を実装したコミュニティが必要だと感じています。そのようなコミュニティではその場に集まって話すだけではなく、投稿自体が自分のコミュニティ(=自身のFacebookのタイムライン)で自分の友人にシェア、コメントなどがなされます。そういったやりとり自体が、広義の意味でソーシャル時代のコミュニティととらえられると思っています。

※本記事はGaiaXソーシャルメディア ラボの花王がクローズ型コミュニティをリニューアルしてソーシャルログインを採用した理由をITmedia マーケティング用に編集し直したものです。


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