KDDIが挑む「デジタルデマンドウオーターフォール」 への道程――ABMの伝道師が語る:「Adobe Symposium 2017」レポート(1/2 ページ)
「Adobe Symposium 2017」におけるKDDI 中東孝夫氏の講演から、同社が進めるアカウントベースドマーケティング(ABM)の取り組みについて学ぶ。
営業の持っているアカウント情報の観点からマーケティング活動を立案・実行する手法として、アカウントベースドマーケティング(ABM)が注目されている。日本におけるABMの先進企業であるKDDIは今、この手法でデジタルマーケティングにどう取り組んでいるのか。「Adobe Symposium 2017」における同社ソリューションマーケティング部 部長 中東孝夫氏の講演内容から探る。
ABMを推進する目的
これまでのキャリアの大半を外資系ITベンダーのマーケターとして過ごし、B2Bマーケティングのエキスパートとして知られる中東氏(関連記事:「B2BとB2Cでマーケティングはどう違うのか? ABMの伝道師に素朴な疑問をぶつけてみた」)は、ABMを「ポテンシャルの高い企業を狙うマーケティング」と定義する。そして、ABMを推進する目的として挙げるのが「後工程の生産性向上」だ。
B2Bマーケティングにおける後工程とはすなわち、マーケティング部門が有望と考えた企業に属するリード(見込み客)のリストをインサイドセールスあるいは営業部門に渡し、商談成立に励んでもらう流れを指す。生産性は活動当たりのアウトプット。つまり架電数や訪問数当たりの案件金額を上げていくためにABMに取り組むというわけだ。
B2Bマーケティングにおける案件発掘の機会は、リアルの展示会やセミナー、デジタルではホワイトペーパーのダウンロードなどだ。KDDIではこれらの機会を案件発掘にうまく生かせたかを評価するため、統一指標を定めた。これがABMを始めるきっかけになった。
ここで導入を決めた統一指標が「MQL$/Call(MQLダラーパーコール)」だ。MQL(Marketing Qualified Leads)とは、マーケティング部門が案件化可能と判断したリードのこと。ダラーは金額。インサイドセールスによる架電1件当たりの獲得案件を金額換算し、件数で割って算出したのがMQL$/Callということになる。以前はMQLの件数のみを評価指標としていたが、件数しか見ていなと、案件の大小も獲得効率も分からなくなってしまう。そこで、金額で生産性を評価するやり方に変えたという。
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