ワークマンのアプリが「あえてデータを取らない」理由 「地に落ちた顧客満足度」を引き上げられるか(1/3 ページ)
「地に落ちた顧客満足度の向上を目指す」──9月1日、ワークマンの土屋哲雄専務のコメントが注目を集めた。既存・新規顧客両方に課題を感じる中で、低下気味だった顧客満足度を引き上げるために、公式アプリの提供を開始した。この公式アプリにおいて、ワークマンは「顧客データの取得」や「ECへの送客」をKPIに置いていない。
「地に落ちた顧客満足度の向上を目指す」──9月1日、ワークマンの土屋哲雄専務のコメントが注目を集めた。
作業服を取り扱う「WORKMAN Plus」や、作業服の取り扱いがない新業態の「Workman Colors」およびその前身の「#ワークマン女子」を運営する同社。作業服にとどまらない事業を拡大させている一方で、課題も感じていた。
人気商品の欠品に憤る新規客と、「俺たちのワークマンではなくなるのではないか」と不安を抱く既存顧客。低下気味だった顧客満足度を引き上げるために、公式アプリの提供を開始した。
9月1日にリリースした公式アプリでは、店舗検索や製品の在庫検索、人気製品の先行予約、取り置きサービスなどを提供。リリース初日に2万ダウンロードを記録するなど、大きく注目を集めている。
この公式アプリにおいて、「顧客データの取得」や「ECへの送客」をKPIに置いていない。同社のEC化率は現状わずか2%。しかし、同社は公式アプリの存在に、手ごたえを感じている。
なぜ、公式アプリでデータ取得を強化しない決定をしたのか。今回の記事では、開発背景や戦略について、ワークマン 営業企画部 マーケティング戦略グループ マネージャー 荻原勇太さんと広報部 チーフ 松重尚志さんに聞いた。
「地に落ちた顧客満足度」 新規・既存客それぞれに課題
ワークマンはこれまで作業服や工具など、働く人に向けたさまざまな製品を提供してきた。
近年は店舗形態の変革に挑んできた。作業服を取り扱う「WORKMAN Plus」や作業服の取り扱いがない「Workman Colors」など、店舗の形態を分けることで、新たな製品が増えても既存製品のラインアップや在庫数は維持できるようにしている。
仕事シーンに限らず、アウトドアやスポーツ、カジュアルシーンに利用できる製品の販売も始め、幅広い層から新規顧客を獲得している。
プロ向けの市場を押さえつつ新たな市場を開拓──。一見、事業の拡大は順調のように思える。しかし、新規顧客と既存顧客のそれぞれに対して、課題が見えてきていた。
新規顧客の獲得には、“着る断熱材”こと「XShelter断熱ウェア」やリカバリーウェア「MEDIHEAL」などの人気製品が大きく貢献している。しかし、多くの店舗で人気製品の欠品が続出し、SNSなどでも「店舗に行ったら、もう売り切れだった」といった声が多く聞かれた。数値として実際に計測したわけではないものの、そうした体験によって顧客満足度が大きく低下していることが感じられていた。
参考:ワークマン、「品切れが多い」→「地に落ちた顧客満足度」を反省 打ち出した挽回策とは?
既存顧客については、一般に向けた製品や新業態の店舗の登場によって、既存製品のラインアップや在庫数が減らされるのではないかといった不安や不満が聞かれた。また、「俺たちのワークマンではなくなるのではないか」と残念に思う声も届いた。
こうした状況に対し、9月1日に都内で開催した新製品発表会で、土屋専務は「地に落ちた顧客満足度の向上を目指す」と、新たな戦略を発表。その一つとして自社アプリをリリースし、アプリを通して製品や在庫の確認などを可能にした。
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