「年間1100本」コンテンツ制作だけで終わらせない マーケティングを進化させる“データ分析”の要諦:顧客起点でLTVを最大化するトヨクモのマーケティング戦略(1/2 ページ)
今回はトヨクモが1年間で生み出した1100本のコンテンツ制作から得られた成果とデータに焦点を当て、その詳細を解説します。
坂田健太(さかた・けんた)
トヨクモ マーケティング本部 プロモーショングループ
顧客起点でLTVを最大化するトヨクモ流のマーケティングの核心には、顧客の「課題解決支援」と「信頼関係の構築」にコンテンツをフル活用する戦略があります。
安否確認サービスなどを手掛けるトヨクモは2024年、驚くべきことに1100本ものコンテンツを制作し、公開しています。この大量のコンテンツは果たしてどのような結果をもたらしたのか。そこで得られた貴重なデータはマーケティング活動にどのように生かされているのか。その全貌を明らかにします。
年間1100本 データドリブンなコンテンツ制作の裏側
トヨクモの驚異的なコンテンツ制作数を支えるのは、多様なコンテンツ形式の活用と、コンテンツの種類に合わせ人をアサインする制作体制です。私たちは、記事、動画、資料、LPなど、さまざまな形式のコンテンツを制作しており 、それぞれのコンテンツが顧客の購買プロセスにおける異なる段階で役割を果たしていると考えています。
コンテンツ制作の中心となるのは、プロモーショングループのマネジャーを含めて6人という少数精鋭のチームです 。このチームは、多様なスキルを持つメンバーで構成されています。メンバーは企画・戦略立案や分析調査、構成案の作成、SEO、資料や動画の制作など、それぞれの専門性を生かして質の高いコンテンツ制作に取り組んでいます。
社内のリソースだけでなく、外部の専門企業との連携にも積極的です。例えば、SEO記事や導入事例記事の制作においては、外部パートナーと協業することで、専門的な知識やノウハウを活用し、より効果的なコンテンツ制作を実現しています。
大量のコンテンツ制作を可能にする背景には、緻密な計画と明確なコンテンツ制作プロセス、役割分担、進捗管理、それを支えるデータ分析の仕組みがあります。
- 計画
- 年間戦略・戦術の設定
- コンテンツカレンダーの作成
- コンテンツ制作プロセスの策定
- 役割表の策定
- 進捗管理
- タスク管理シートの作成
- コンテンツ在庫表の作成
- データ分析関連
- コンテンツ成果をまとめる管理帳票の作成
- 「Googleアナリティクス」や「Google Search Console」の連携によるデータ登録の自動化
- コンテンツマーケティングツール「TRENDEMON」やユーザー行動可視化ツール「ミエルカヒートマップ」などを活用して顧客行動を詳細に可視化
トヨクモのコンテンツマーケティングを特徴づけるのは、徹底したデータドリブンなアプローチです。私たちは、TRENDEMONのようなツールを活用してコンテンツのパフォーマンスを詳細に分析しており、読了率、サイト内での回遊状況、コンバージョン率などをコンテンツごとにモニタリングしています。
これらのデータは、コンテンツの改善や広告配信先の選定に活用し、より効果的なマーケティング活動につなげています。これらの取り組みによって質の高いコンテンツ制作ができ、結果的にGoogle検索や近年話題になっているAIアルゴリズムからの信頼性を高め、持続的なデータ取得と効果的な情報発信を行えています。
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