「年間1100本」コンテンツ制作だけで終わらせない マーケティングを進化させる“データ分析”の要諦:顧客起点でLTVを最大化するトヨクモのマーケティング戦略(2/2 ページ)
今回はトヨクモが1年間で生み出した1100本のコンテンツ制作から得られた成果とデータに焦点を当て、その詳細を解説します。
1100本のコンテンツの分析から見えたデータと成果
年間1100本ものコンテンツ制作とデータ分析は、前年の実績を数百%超える成果を上げています。特に、インサイドセールスを廃止しコンテンツマーケティングへと大きく舵を切った結果、「kintone連携サービス」や「安否確認サービス2」では、無料トライアルの申し込みを昨対比で約150%以上も獲得できました。
外部パートナーと連携して潜在層と準顕在層向けに記事を679本制作し、公開した施策では、オウンドメディアはもちろん、製品サイトへのトラフィックが大幅に増加しました。製品と関連性が高いキーワードにおいて、制作した記事が検索上位表示を獲得し 、質の高いコンテンツが多くのユーザーの目に触れる機会を増やしています。顧客が抱える課題やサービス導入後の成果を具体的に紹介する導入事例記事も、見込み客のエンゲージメントを高め、「実際に使ってみたい」という意欲を醸成する上で重要な役割を果たしています。
データ分析では、効果の高いコンテンツ形式や人気のテーマも明らかになっています。例えば、特定の業界や課題に特化したコンテンツが高いエンゲージメントやコンバージョンにつながる傾向が判明しました。
これらの分析結果は新たなコンテンツ制作や既存コンテンツの改善に活用され、常に最新かつ顧客ニーズに合致した情報を提供することに役立っています。また、データに基づいた新たなコンテンツを企画・制作し、ターゲットオーディエンスに合わせた最適なコンテンツ配信を行っています。さらに、データ分析を通じて成功パターンを特定し、それをコンテンツ改善や新規制作に生かすサイクルを生み出しました。これにより、マーケティング活動の継続的な最適化が可能になり、それがより高い成果を生み出す原動力となっています。
データ活用でマーケティングを成功に導くヒント
年間1100本のコンテンツ制作を通じて得られた経験とデータは、私たちにとって貴重な財産となっています 。今後は、この学びを生かし、データドリブンなマーケティングをさらに進化させていく計画です。
特に注力しようとしているのが動画コンテンツの制作です 。視覚的に訴求力の高い動画は、顧客エンゲージメントを高める上で重要な役割を果たすと考えています。 動画コンテンツへの注力は、多様化する顧客の情報収集行動に対応し、より幅広い層へのリーチを可能にするための重要な戦略です。
また、データ分析とAIの活用は、マーケティング活動の効率化と高度化を両立させ、競争優位性を確立するための鍵となります 。これらの取り組みを通じて、常に変化するマーケティング環境に適応し、顧客にとって価値のある情報を提供し続けることがこれまで以上に必要だと考えています。
データ分析を深めて目指すのは、顧客一人一人にパーソナライズされた情報提供です。Webサイトでの行動履歴や属性情報などを活用し、顧客が必要としているであろう情報を最適なタイミングで届けることで、顧客体験の向上を図っています。さらに、AI技術の進化にも注目し、AIを活用したコンテンツマーケティングも視野に入れています 。具体的にはAIを活用したコンテンツの作成支援や、顧客データの分析による新たなコンテンツテーマの発掘などが考えられます。
データドリブンなアプローチは、マーケティング活動の効果を最大化するために不可欠です。コンテンツのパフォーマンスをしっかりと分析し、その結果を改善に生かすことで、より効率的で効果的なマーケティングを実現できます。さらに、コンテンツにアクセスしやすい状態を作れば、顧客満足度を高め、エンゲージメントを深め、自社のサービス理解を促進し、より多くのデータを獲得することもできるでしょう。
マーケティング担当者は、常に顧客の視点に立ち、顧客が本当に必要としている情報を提供することを心掛けるべきだと考えています。データに基づいた分析と、顧客中心の考え方を組み合わせることで、マーケティング活動はより大きな成功へとつながるでしょう。従来のマーケティング手法にとらわれず、自社の顧客や製品特性に合わせて柔軟な戦略をぜひ構築してください。
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