Microsoft傘下の孤高のビジネスSNSはAIの時代にどこへ向かう?――2025年のSNS大予測(LinkedIn編):Social Media Today
ビジネス特化型のソーシャルプラットフォームとして独自の立ち位置を確立したLinkedIn。生成AIやライブイベントへの注力を通じ、今後さらに進化する可能性が注目される。
LinkedInは、他の大手ソーシャルメディアとは異なり、主にビジネスや専門的なコミュニケーションに特化している。それ故に独自のカテゴリーに分類され、多くの点で比較の対象から外れている。
もちろん、LinkedInも依然としてソーシャルメディアであり、少なくとも他のメディアと同じトレンドのいくつかを踏襲している。常に成功しているわけではないが、トレンドに合わせ、より多くのエンゲージメント要素を加える努力を続けている。しかし、2025年のLinkedInはコンテンツに重点を置いた独自の道をより明確に切り開き始めると私は予想する。
OpenAIに強い影響力を持つはずのMicrosoftだがLinkedInの実態は……
親会社のMicrosoftがOpenAIとの統合を通じてAIツールに注力する中、LinkedInも投稿作成のプロンプトや求人応募のレター、履歴書改善の提案など、可能な限り多くの生成AI要素を追加しようと熱心に取り組んでいる。
しかし、私はLinkedInのAI推しは行き過ぎていると思う。
もちろん、多くの機能は役に立つものだ。一方で、LinkedInは人々が自分のスキルや能力を披露する場でもあるはずだ。しかし、LinkedInの作成プロセスのあらゆる段階でAIツールが増えるにつれ、アプリで共有される内容にはますます人間味が薄れ、各人の実際の成果や能力を示すものではなくなってきている。
そのため、LinkedInは実際にAIの推進を縮小し、既存のAI要素の一部を削除するかもしれないと私は考えている。もちろん、MicrosoftはOpenAIに100億ドルを投資しているのだから、そこにはMicrosoftの意見も反映されるだろう。しかし、現存する多くのAI機能がLinkedIn全体のエコシステムにとって有益であるとは思えない。
AIアシスタントのオプションは依然として豊富にあり、ユーザーは同じ目的で外部ツールを使用することもできるだろう。しかし、LinkedInは生成AIを使用するインストリームプロンプトを縮小し、AIツールを人間の入力の代替ではなく、補助的な要素として合理化することを検討するのではないかと考えている。
生成AIを活用したキャリアパス提案
LinkedInは他に類を見ないプロフェッショナルインサイトのデータベースを持っており、これを生成AIシステムに組み込むことで非常に強力なツールとなる可能性がある。そのため、LinkedInはAIを他の方法で活用し、例えば、登録された教育や職歴、特定の質問に対する手動の回答に基づいて、最適なキャリアパスを見つける手助けをするかもしれないと考えている。
LinkedInはすでに、採用担当者が募集中の役職に最適な候補者を選ぶのを支援するという形で、これをある程度実施している。従って、プロセスはより広範になるものの、同じ方法でユーザーを支援することにも応用できるだろう。
繰り返しになるが、LinkedInは他のどのプラットフォームよりもこのようなインサイトを提供するのに適している。そのため、AIを活用して、似たような人々がどのようなキャリアを歩んできたか、そしてそれがどのようにしてより高い仕事満足度につながったかを示すことができるのは非常に価値のある方法だろう。過去にもLinkedInは同様の試みを行ってきたが、今ではAIの支援を受けて、この点においてさらに強力なガイダンスツールとなる可能性があると考えている。
ライブイベントへの注力
LinkedInが他のソーシャルプラットフォームと同様にストーリー機能を実装しようとしたものの誰も気にかけなかったことを覚えているだろうか。
それには理由があり、LinkedInがTikTokのような短い動画クリップのフィードを試みても失敗するのは同じ理由だ。LinkedInのコンテンツは、概して退屈だからだ。もちろん、どのアプリでもほとんどの投稿にはニッチな関心があるが、一般的な消費者視点から見ると、プロフェッショナルなキャリアアドバイスをTikTokでバズっている動画と同じくらい魅力的にすることはできない。
しかし同時に、LinkedIn内での動画消費は増加しており、動画投稿はテキストと比較して平均で40%多くのエンゲージメントを生み出している。そのため、LinkedInが動画に重点を置くこと自体は正しい方向性だ。ただし、より多くの利用が見込まれるのは、ライブイベントやビジネスに特化したウェビナーやディスカッションの配信だ。
実際、数多くのライブイベントが開催されるようになっている。LinkedInは最近、2024年にアプリ内で配信されたライブイベントが14.4%増加したと報告している。もしLinkedInがいくつかの主要なイベントと提携し、そのセッションをアプリで配信すれば、業界の最新ニュースを直に知り知識をアップデートしたいと考えるより多くのプロフェッショナルを呼び込むことができるだろう。
基本的に、LinkedInは自分がTikTokではないことを認識し、同じ種類のエンターテインメントコンテンツでは競争できないことを理解する必要がある。しかし、LinkedInには多くの価値ある資料がある。それを活用してプロフェッショナルなオーディエンスを教育するためのコンテンツをさらに提供することはできるだろう。
2025年のSNS大予測
- 序文:AIの時代に「ソーシャル」はどう変わる?
- Facebook編:「世界一のSNS」AI・メタバースへの注力で再躍進あるか?
- X編:トランプ氏勝利で追い風 ところでTwitter買収時のマスク氏の計画はどこへ?
- Instagram編:生成AIとAR/VRで失った個性を取り戻す
- TikTok編:「TikTok禁止」は結局、誰得? どうするトランプ氏
- Snapchat編:Metaに潰されないために残された生き残りの道は?
- LinkedIn編:Microsoft傘下の孤高のビジネスSNSはAIの時代にどこへ向かう?(この記事)
- Pintererst編(12月28日公開予定)
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