バーガーキングが挑む「ハイパーパーソナライゼーション」を支えるすごいチーム:Marketing Dive
Burger KingのCMOパット・オトゥール氏は、ワッパーのカスタマイズに向けてMedia.Monksと共にどのように話題のテクノロジーに傾倒したかを説明する。
生成AIを利用してワッパーのカスタマイズを競うというこの試みを手掛けたのはクリエイティブエージェンシーのMedia.Monksだ。この企画に参加するユーザーは、作り上げるワッパーに最大8つの食材を加えることができる。アレルギー物質や食べられないもの、冒涜的な表現を除けば、想像力だけが唯一の制限になる。スケーラブルでありながらブランドセーフで、なおかつプライバシーを第一に考えた体験を構築することは、Media.Monksにとってチャレンジだった。
“ワッパー生成AI”の誕生秘話
※編注:本稿は「バーガーキングがまた発明 “ワッパー生成AI”でブランドの伝統を現代に」の続きです。
Media.Monksのバイスプレジデント兼グローバルエンジニアリング責任者であるイラン・レイエス氏は「当社は全社的にAIの知識に重点を置いている。全ての製品部門がAIについて豊富な知識を持ち、点と点を結ぶテクノロジーだけではなく、テクノロジーがどのように機能するかを実際に理解している」と述べる。
AIを使ってカスタムワッパーを生成するには、どのような食材をハンバーガーにどうトッピングするかというブランドガイドラインに合わせて、複数の大規模言語モデル(LLM)を微調整する必要があった。しかし、レイエス氏によればこの企画における「魔法の食材」は、Media.Monksが(開発者とは別に)品質保証(QA)のための専任チームを起用していることだ。
「当社のQAチームは規模が大きく、AIにも精通している。LLMの仕事をした経験も豊富だ」とレイエス氏は話す。
リアルに提供可能なワッパーの画像を生成した後の次のステップは、CMでおなじみの「Whopper Whopper」を彷彿とさせるような、ラップ調のオリジナルジングルを生成する作業だった。AIが生成した画像の方が目を引くだろうが、実はこの企画で最も複雑な要素となるのは音声の方だ。
「ダイナミック広告に似ている。全ての点をマッチングさせ、つなげるのは、実はとても複雑だ。私たちにとってはハイパーパーソナライゼーションが現実のものになりつつある」とレイエス氏は言う。
「100万ドルのワッパーコンテスト」は研究開発、バックエンドプランニング、QAプランニングを含め、完成までに約3〜4カ月を要した。Media.Monksのクリエイティブと技術的な専門知識の組み合わせとともに、AIを優先することでスケーラブルで安全かつ迅速なソリューションの構築が可能になった。
「全員がAIについて知るべきだ。それが昨年の当社の焦点だった。AIは常に変化しているので、これは大きな挑戦であり、これからも挑戦であり続ける」とレイエス氏は言う。
基礎となるテクノロジーの開発と進化は今後も続くだろう。マーケターは生成AIの可能性と落とし穴について常に最新の情報を得ることが不可欠になる。
「AIに関しては解明し探求すべきことがたくさんある。これはほんの始まりにすぎない。AIの統合がお客さまへのサービスにつながることは重要だが、私たちのチームは、生成AIがさまざまな種類のメディアの展開、作成、最適化にどう影響を与えられるか、あらゆる方法を積極的に探求している」(オトゥール氏)
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