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【用語解説】ライブコマースITmedia マーケティング用語集

ブランドや小売業者がライブ動画配信を通じて顧客とつながり、直接的な売り上げを得られる手法「ライブコマース」について。

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 ライブコマースとは、商品を紹介し、リアルタイムで販売することを目的としたライブ動画配信のこと。ライブショッピングやソーシャルコマースとも呼ばれる。オンラインとオフラインのショッピング体験のギャップを埋める役割を果たす。視聴者が売り手の側にいる出演者と対話し、質問をすることができる双方向性と、気に入った商品をその場で直接購入できるのが特徴。

ライブコマースに期待される効果

 双方向かつ動的なショッピング体験を提供するライブコマースには以下のような効果が期待される。

  • 緊急性:ライブコマースのリアルタイム性は緊急性を生み出し、視聴者は限られた期間のオファー(特典)やプロモーションを利用しようと購買決定を早めるため、高いコンバージョン率が期待できる。
  • エンゲージメント:人やキャラクターが商品を紹介またはデモンストレーションして見せることでオンラインショッピングに人間らしさを加え、売り手への親近感や信頼感を醸成する。直接的に売り上げにつながるだけでなく、顧客のエンゲージメントを向上させる。具体的にはユーザーからの質問に即座に答えたり、リクエストに応じてデモンストレーションを行ったりできる。
  • 拡散力:視聴者はライブショッピングセッションをソーシャルメディアで共有することがよくあり、その結果、ブランドや商品についてのコミュニティーが形成される。

ライブコマースの現状

 ライブコマースが最も成功しているとされるのが中国だ。調査会社Insider Intelligenceのレポート「Live Commerce 2023」によると、2023年の中国小売業のEコマース取引売上高の19.2%をライブコマースが占める。同レポートは2023年の中国におけるライブコマースの総売上高が5626億2000万ドルに達し、2025年には8439億3000万ドルになると予測している。ライブコマース経由の購入者は3億7370万人で、普及率は42.1%だ。

 米国でもライブコマースの採用が急増している。Coresight ResearchとBambuserのレポート「10 Key Trends Shaping Livestreaming E-Commerce in 2023」によると、米国におけるライブコマースの市場規模は2023年末までに317億ドルに達し、2021年の約3倍の規模になる。2026年までには678億ドルに達し、Eコマース全体の5%以上を占めると同レポートは予測している。

 日本ではまだライブコマースの市場規模は小さいとみられ、2023年11月時点で確かなデータは見当たらない。消費者の認知度や利用意向も低い。NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが2022年12月から2013年1月にかけて全国の15歳以上の男女を対象に実施した調査によれば、ライブコマースについて知っている人は31.9%で視聴経験があるのは3.9%にすぎない、視聴経験者の商品購入経験率54.8%というのはそこだけ見れば高いが、全体からみるとまだ市場はほとんどないに等しい(関連記事:「『ライブコマース』視聴経験者の過半数が商品購入を経験――NTTコム オンライン調査」)。

 

ライブコマースの活用例

 業種や商品によって向き不向きはあるものの、さまざまな用途が考えられる。一般的な活用例としては以下のようなものがある。

  • ファッション・アパレル:ライブファッション ショーで新しい衣料品ラインアップを紹介したり、ファッションの専門家がお薦めコーディネートやさまざまなアイテムを組み合わせたスタイリング方法をデモンストレーションしたりする。
  • 美容・コスメ:美容製品の紹介やスキンケアおよびメイクアップのやり方をデモンストレーション。
  • 電子機器・ガジェット:新しい電子機器の機能や特徴をデモンストレーション。
  • 食品・飲料:購入可能な材料とレシピを紹介しつつクッキングショーを見せる。
  • フィットネス・ダイエット:インストラクターがライブワークアウトセッションを主導。セッション中に直接購入リンクを使用してフィットネス機器やアパレルなどを宣伝。あるいは栄養に関するアドバイスセッションを提供し、特定のサプリメントの利点を語り、おすすめアイテムを購入できるようにする。

 その他、美術品・工芸品の制作課程を見せながら販売したり、骨董品のオークションをライブ配信するといった使い方もある。商材の価格帯もさまざまで、自動車や住宅を売る例も登場している。

ライブコマースの担い手

 ホスト役となるのは通常、ブランドを代表するスポークスパーソン(経営者または従業員)やインフルエンサー(中国ではKOLと呼ばれる)。商品について精通していることはもちろん、視聴者の目線で有益な情報を提供できる人であることが重要だ。インフルエンサーを起用する際には知名度やフォロワー数よりも、商品との関連性やコンテクストを重視するのが望ましい。実在の人物だけでなくVTuberのようなキャラクターを立てた配信も行われている(関連記事:「VTuberを起用したライブコマースでモノは売れるのか? au PAY マーケットの挑戦」)。

 商品が何であれ、ライブコマースで重要なのは魅力的でインタラクティブなコンテンツを作成すること。ライブコマースの担い手にはリアルタイムで視聴者と対話できる人であることが求められる。

ライブコマースのためのサービス・ツール

 ライブコマースには。SNSのライブ配信機能と自社のECサイトを連携させる方法とECモールが用意するライブコマース機能を利用する方法、ライブコマースに特化したサービスを利用する方法の3パターンがある、

 YouTubeやInstagramでライブを配信するのは一番手軽な方法だが、購入までの動線がないのでプロフィールやコメント欄から誘導する必要がある。また、購入時には画面を遷移することになり視聴が途切れる。ただし、YouTubeでは一定の資格条件を満たし、かつサポートされているECプラットフォームを使ってECサイトを利用している場合は「ショッピング機能」が利用できる。これを使うことで自社ECサイトをYouTube に接続してコンテンツ内で自社商品を紹介したりコンテンツ内で商品にタグ付けしたり、YouTube アナリティクスでショッピングアナリティクスを確認して、タグ付けされた商品のパフォーマンスを計測できるようになる。日本において現時点で使えるプラットフォームは4つ。そのうち日本語に対応しているのは「Shopify」およびオンデマンド印刷専業の「SUZURI」のみ。

 ECモールでは楽天の「楽天市場ショッピングチャンネル」やauコマース&ライフの「au PAY マーケットライブTV」がある。

 ライブコマース特化型サービスは、ライブ配信中に画面内に商品情報を表示し、そのままカートに投入できるなどの便利な機能を備えている。また、購入時の画面遷移による離脱がない。17LIVEが提供する「HandsUP」やECカートに連携するThe Unitの「ライコマ」、フューチャーショップの「Live cottage」、自社ドメインで運用するFirework(日本ではLoop Now Technologiesが提供)の「Firework」やBIPROGY「Livekit」などがある。

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