「営業電話が世界で激減」「チャット利用急増」など コロナ禍のB2Bマーケ&営業の現状――HubSpot調べ:今日のリサーチ
問い合わせに使われるチャネルの変化や案件の成約数など、HubSpotの顧客データで読むコロナ禍におけるB2Bマーケティング&営業活動の現状です。
収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中の企業のマーケティング・営業活動に大きな影響を与えています。これを受けHubSpotでは、同社が全世界に抱える7万社以上の顧客データ(匿名化したもの)を活用し、企業のマーケティング・営業活動の変化、買い手が購買活動の過程で取る行動について、COVID-19以前の水準と比較したデータを2020年4月より週次で公開しています。
HubSpot日本法人のHubSpot Japanはこのデータに日本独自の傾向を加えた結果を「HubSpotの顧客データから読み解くCOVID-19によるマーケティング・営業インパクト」としてまとめました。本稿では2020年7月29日に開催された記者発表会におけるHubSpot Japan共同事業責任者兼シニアマーケティングディレクターの伊佐裕也氏のプレゼンテーションの概略を紹介します。
オンラインの情報収集活動が活発化する一方で商談の成約数は低下
2020年の4〜6月期において世界のHubSpot顧客企業の営業担当者がかけた電話本数は前四半期(1〜3月)比で16%減でした。1月13日週〜3月2日週の週次データ平均値を「COVID-19以前のベンチマーク」としたとき、4〜6月期の対ベンチマークデータは軒並み0を下回っています。世界中の都市でロックダウン(都市封鎖)が行われ不要不急の外出自粛ができなくなった結果、顧客企業のオフィスに電話してもつながらないケースが多かったようです。
一方でWebサイトへの4〜6月期におけるグローバルのアクセス数は前四半期比で16%増、日本では13%増でした。ユーザーの情報収集活動がオンライン中心にシフトする中、企業のマーケティング活動もより非対面にシフト。メールマガジンなどマーケティングメール送信数も増加しています。4〜6月期におけるメール送信数は、グローバルで前四半期比21%増え、開封率も9%増加しています。日本ではメール送信数の増加率がさらに高く、世界最大となっています。チャットでの問い合わせ数も前年同期比で31%増えました。チャット利用は対ベンチマーク比で見てもほとんど右肩上がりで増え続けています。電話の補完手段となるリアルタイムのコミュニケーションツールとして注目されていることが分かります。
電話がかけられなくなった営業担当者もメールの利用を強化しています。ところがこちらは返信率が低く、必ずしも成果につながってはいないようです。HubSpot CRMに記録された取引の成約数も11%減。4月以降回復の兆しはあるものの、厳しい状況は続いています。先行き不透明な中で投資の意思決定を先送りにして今は情報収集を強化する時期と割り切るユーザーが増えているのかもしれません。
伊佐氏はコロナ禍のB2Bマーケティングにおいて注力すべき領域として、
- オンライン上で「見つけてもらった」後、マーティング施策で適切に見込み客をフォローする仕組みの構築
- チャットの活用
- 営業コミュニケーションの質向上
の3つを挙げています。
具体的には、1については問い合わせフローの整備や獲得したリードの営業担当者への引き渡しフロー整備、コンテンツの強化、2についてはチャットbotの設置などが考えられます。3については、成約数を確保する必要があるのであれば、ツールの導入でマニュアル作業を減らして営業担当者の生産性を高める工夫もできるでしょう。抱える案件が多過ぎるのであればリードをセグメント化してステージに合ったコミュニケーションを取るといったこともできます。
今あるリソースを最大限活用し、できることを少しでも前に進めていきたいですね。
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