リモートワークで広告クリエイティブ制作の「3密」は変わるか monopoと東北新社が業務提携:アフターコロナの広告業界(1/2 ページ)
東京発のグローバルクリエイティブエージェンシーmonopoと東北新社が遠隔で映像制作ができるサービス「STUDIO DISTANCE」を開始。コロナ禍への対処を超えた真の狙いとは。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響で広告関連ビジネスが揺らいでいる。収益面でいえば、経済の停滞に伴う出稿減の懸念が大きいが、サービス供給の視点からも切実な課題がある。人との接触を伴う活動が大きく制限されている今日、多くの案件においてクリエイティブ制作を断念せざるを得ない事態が生じているのだ。
不要不急の出勤の自粛とリモートワーク(テレワーク)が推奨されるのが世の流れだが、広告制作の現場でもそれに倣おうとする動きがある。グローバルクリエイティブエージェンシーのmonopoと業界大手の老舗総合映像プロダクションである東北新社の業務提携もその1つだ。
両社は2020年5月27日、共同事業によるリモート映像制作サービス「STUDIO DISTANCE」の記者発表会をオンラインで開催した。同サービスではクリエイティブディレクターやプランナーなどの企画メンバーから、プロデューサー、監督、カメラマン、編集スタッフなど制作サイドまで、両社横断でチームを編成。オリエンテーションから企画、制作、プロジェクトの納品に至るまで全てのプロセスを遠隔で実施する。発表会では協業第1弾として制作した「BS10 スターチャンネル」のテレビCMを披露した。以下はそのメイキング映像だ。
グローバルエージェンシーではコロナ以前からリモートが当たり前
monopoは東京発のグローバルクリエイティブエージェンシーとして現在、国内外約400社のクライアントに対してブランド戦略からプロモーション、デジタルを中心としたクリエイティブ制作サービスを提供している。現在の社員数は35人。約半数は外国籍だ。2019年には海外子会社をロンドンに立ち上げている。
“A BRAND OF COLLECTIVE CREATIVITY”をビジョンに掲げるmonopoは、コミュニティーベースで仲間を広げ、共創するというスタイルを採用している。monopo社員は自身もクリエイターでありつつビジネス機会を創出することを意識し、コミュニティーの中の他社あるいは個人で活躍するクリエイターに対してさまざまな機会を提供している。
つまり、プロセスが社内で閉じることはもともと想定しておらず、コロナ禍以前からリモートでのやりとりが当たり前だった。例えばクライアントはスウェーデンにいながら映像の撮影は日本で行い、リモートでレビューしてもうといったプロジェクトは日常的に行われている。クライアントもパートナーも全世界に広がっており、ロンドン支社の顧客の9割は英国外の企業が占める。
このような環境下で、リモートワークのノウハウを生かして広告業界や社会に貢献したいという思いから2020年4月に立ち上げた新サービスが「Remote Natives」だ。今回のSTUDIO DISTANCEはこれをベースに東北新社のコンテンツ制作力を掛け合わせることで、制約の多い環境でも質の高い映像とアイデア、企画を実現することを目指す。
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