SDGsへの取り組みが最も高く評価された企業はトヨタ自動車――ブランド総合研究所調査:今日のリサーチ
国内の主力企業のSDGsへの取り組みやESG活動に対して1万500人に聞いています。
調査とコンサルティングの専門企業であるブランド総合研究所は、国内の有力企業210社のSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)への取り組みやESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)活動を消費者視点で評価する「企業版SDGs調査2020」を実施しました。
同調査では、国内の主力企業のSDGsへの取り組みやESG活動に対し、一般消費者や企業に勤めるビジネスマン、投資家、SDGsに興味を持っている層などのステークホルダーによる評価を行い、それを数値化する調査として、2020年3月にインターネットで調査を実施しています(回答者は総数1万500人、各企業は500人)。
今回の調査の結果、消費者からSDGsへの取り組みが最も高く評価された企業はトヨタ自動車となりました。同社の社会貢献(CSR)活動や科学技術、世界平和、法令順守などのESG活動が評価されたことが要因で、同社は投資意欲でも1位となりました。SDGs取り組み評価の2位以下にはアサヒビール、旭化成、サントリー、パナソニックが続きました。SDGsへの取り組みの評価が高いTOP100社のうち上位20社は以下の通りです。
トヨタ自動車は回答者の10.3%からSDGsに「本格的に取り組んでいる」と評価された他、16.7%に「少し取り組んでいる」と評価されています。社会貢献(CSR)活動の他、科学技術、世界平和、法令順守という4つのESG活動の項目でも1位となり、ESG活動20項目の総合評価でも1位となりました。
SDGsの認知は約4割、取り組みへの評価は全体平均では低い
回答者にSDGsへの認知状況を聞いたところ、「SDGsの趣旨および詳細な内容について知っている」と答えた人は5.4%。「主な内容は知っている」は11.2%、「趣旨は知っている」は7.2%で、合計では23.9%でした。SDGsという「名称だけは知っている」15.1%を加えるとおよそ4割で、残りの6割以上は「知らなかった」と答えています。各社のSDGsへの取り組みについての評価は「本格的に取り組んでいる」と答えた人が210社の平均で4.4%、「少し取り組んでいる」は10.1%で計14.5%にとどまりました。
SDGs取り組み評価の高い企業は、総じてESG活動評価も高い傾向にあることが分かりました。各社のESG活動(20項目)がSDGs評価にどのように影響しているのか、重回帰分析を使って解析してみた結果、最も影響が大きいのは「環境に配慮している」との評価で、「生活を豊かにしている」や「スポーツや文化活動に熱心」「公平な取引を行っている」の順で続きました。一方で「世界平和に貢献している」「国際化が進んでいる」「宇宙開発を推進している」などの項目は影響が見られませんでした。
SDGsへの取り組みで好感度に2倍の差
210社の中でSDGsへの取り組み評価が高い100社(TOP100)とそうではない110社を比較したところ、各社の好感度はTOP100平均では24.2点だったのに対し、それ以外では9.8点と2倍以上もの差がつきました。特にTOP100の平均では「とても好感が持てる」と答えた人が13.5%だったのに対し、それ以外では5.5%と大きな差になっています。
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