庭山一郎氏×油野達也氏 B2Bにおける「マーケティングの貧困」を抜け出すために:マーケターの育成について語る(1/2 ページ)
今、マーケティングを学ぶ機会を創出する意義とは何か。B2Bマーケティングおよびセールスの重鎮が熱く語った。
庭山一郎氏率いるシンフォニーマーケティングは2020年1月、B2Bマーケティングを体系的に学ぶ教育研修プログラム「Symphony Marketing Master」の提供を開始した(関連記事)。
この道一筋30年、製造業を中心に日本を代表する大企業のデマンドセンター構築を支援し続け、日本のB2Bマーケティングにおける第一人者である庭山氏が今なぜ「教育」という新たな事業領域に踏み出すのか。その真意をB2Bセールスの大ベテランでIT業界の表も裏も知り尽くすデータビークル代表取締役社長CEOの油野達也氏と語り合った。
今、教育研修プログラムを始める理由
油野 Symphony Marketing Masterの話を最初に聞いたときの印象は「庭山さんがついに金もうけに走ったか」というものでした(笑)。多くのITベンダーは製品を売る一方で、自社の製品の使い方を教えてさらに資格ビジネスで安定的に収入を得ようとする傾向がありますが、そういうことをやるのかと。でも、もちろん違いますよね。一体、目的は何ですか。
庭山 一言でいえば「マーケティングの貧困」という課題を解決するためです。現時点で約5000社の日本企業が一度はMA(マーケティングオートメーション)を導入していますが、営業に対してリード(見込み客)を安定的に供給するというMA本来の使い方ができているのは全体の1%に満たないでしょう。私は、日本のB2Bマーケティングが海外に後れを取っていると長年言い続けてきましたが、大きな原因の一つが、企業内に学ぶ環境がないことだと考えています。そこで、私たちが教育支援をやろうと思いました。例えていえば、今は無免許で自動車を運転している人たちが大勢いる状況であり、それならば私たちが教習所を作ろうということです。
油野 危機感がきっかけなのですね。でも、MAの使い方を教えるとか、そういうことでもないですよね。教習所ではあっても単に運転の仕方を教えるわけではないと。
庭山 多くの企業は流行っているからと安易にMAを導入したものの人材やナレッジに投資をしてこなかった。結果、今の惨状があります。だから私は、ツールの使い方よりも、営業が本当に欲しがるような商談を供給するための知識と方法を教えたいのです。
油野 運転できないだけならまだしも、そもそも自動車のことを何も分かっていない人たちが、販売店におだてられて高級車を買わされているのが現在です。そういう人たちに、そもそも自動車が何をするためのもので、どこへ行くべきものなのか、動く仕組みから交通ルールまで、自動車全般のことを学んでもらうというイメージですね。
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