B2Bにおける動画活用とグローバルマーケティング、3Mが実践していること:庭山一郎氏も注目(1/2 ページ)
グローバル規模のデマンドジェネレーション活動と、動画の具体的な活用方法について。
本稿では、日本オラクルが2019年8月6日に開催した「Oracle Modern Cloud Day Tokyo 2019」におけるパネルディスカッションから、化学電気素材メーカーの3Mにおけるグローバルマーケティングと動画活用について紹介する。
パネルディスカッションには3Mの日本法人であるスリーエムジャパン カスタマーエンゲージメント部 部長の田中 訓氏とシンフォニーマーケティング 代表取締役の庭山一郎氏、ブライトコーブ バイスプレジデントの北庄司 英雄氏が登壇した。
取引先の世代交代で訪問主体の営業スタイルが敬遠され始めた
3Mは付箋紙の「ポスト・イット」や粘着テープの「スコッチテープ」、キッチンスポンジの「スコッチ・ブライト」などで一般消費者にもよく知られるが、事業構造的にはB2Cよりも圧倒的にB2Bの比重が大きい。
同社は米国ミネソタ州に本社を構え、日本を含む世界70カ国でビジネスを展開する。「コンシューマー」「インダストリアル」「エレクトロニクス&エネルギー」「セーフティ&グラフィックス」「ヘルスケア」の5つの事業部門を通じて、5万5000種類に及ぶ製品をさまざまな顧客に提供している。
特徴的なのが組織の在り方だ。事業軸(5事業部門およびその下の事業部)と地域軸(グローバル、エリア、カントリー)に、「人事」「財務」などのコーポレート機能で横串を刺すという、非常に複雑なマトリクス構造になっている。
田中氏の所属するカスタマーエンゲージメント部はそのコーポレート側にあり、国内22の事業部を横断的にサポートするデマンドセンター部門として機能している。
3Mがグローバルでデマンドセンターを整備した背景には、全社的な危機感があった。3Mの扱う素材の購買決定権を握るメーカーの技術者は、30代の若手への世代交代が進んでいる。デジタル化で購買行動の変化した若い世代は、昔ながらの訪問を主体とする営業スタイルを好まない。これは世界的な傾向だ。
そこで、同社はマーケティングのデジタル変革を一気に進める決断を下した。マーケティングオートメーション(以下、MA)ツールの「Oracle Eloqua」を活用し、アナログなやり方に頼らない新規案件創出の仕組みを本格的に構築しようと考えたのだ。また、各事業部のマーケティング担当と営業担当がこれまで築き上げてきた既存顧客との強いパイプを生かして、既存顧客に既存製品を売るだけでなく新規製品を売れるようにしたいという思惑もあった。
グローバルワンインスタンスでEloquaを活用する意義
カスタマーエンゲージメント部の役割は、マーケティング部門と営業部門の橋渡しをすることだ。3Mの場合は事業部側にマーケティングと営業が存在するため、両部門をカスタマーエンゲージメント部がサポートするのだ。
マーケティングが営業に渡したリード(見込み客情報)が無駄にならないよう、デマンドセンターは各事業部にヒアリングして「どういうリードが必要か」「それをMQLとしてどう定義するか」「リードはどう扱うか」「デマンドジェネレーション活動の可視化と改善」の4点を明確にする。さらにMAとSFA(営業支援システム)を連携させ、明確にした4点の条件に即して自動的にリードを渡すようにしている。
実は、Eloquaそのものはもともと日本国内でも個別に使ってはいた。この話のポイントは、3Mが2016年12月にグローバルでのデマンドセンター設立を決断し、翌年4月にEloquaをグローバル共通の環境に移行したことにある。これにより、コンタクト情報が膨大な量になることや日本独自の拡張ができないというデメリットも生じたが、それ以上に大きなメリットがあったと田中氏は語る。
「グローバルワンインスタンスにしたことで、エンゲージメントの全体管理や他のツールとの連携が容易になった。『同じ企業に5回以上アプローチしてはいけない』などのグローバルルールは、一貫性のあるコミュニケーションに役立つ。教育プログラムやコミュニケーションで利用するアセットも共通にできる」(田中氏)
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