2019年の消費増税前後で日本人の消費はどう動いたか――Criteo幹部が解説:今日のリサーチ(1/2 ページ)
若い世代を中心に増税前の消費は上昇したものの買われたのは低価格な日用品が中心。ECより店舗。気になる増税後の落ち込みは2014年の増税時より緩やか。これらの結果からマーケターは何を学ぶべきでしょうか。
2019年10月1日の消費税引き上げのタイミングで消費者はどう動いたのでしょうか。駆け込み需要はあったのか。あったとしたら、誰が何を買ったのか。反動は――。
Criteoは、消費増税前後の期間(2019年8月1日〜10月25日)におけるEC事業者のトランザクションデータ2億4000万件を分析し、さらに1000人以上の消費者へのアンケートも実施して増税前後の購買傾向の変化を調査しました。
EC事業者を中心に支持され、日本を含む年間8000億ドル規模の購買行動データを保有するCriteoだからこそ可能だという同調査から、企業のマーケターが学ぶべきポイントとは何でしょうか。2019年10月19日に開催された記者向けの説明会にて、Criteoバイスプレジデントでアナリティクス&インサイト部門統括責任者を務めるジェイセン・ガレスピー氏が解説しました。
調査のポイント
- Z世代やミレニアル世代を中心に増税前の消費は増加
- 増税直後の消費の落ち込みは2014年の増税時より緩やか(健康美容分野での比較)
- 駆け込み需要は主に店舗で、必需品中心に1万円位以下の買い物が多い
- キャッシュレス決済の普及は高所得層から進むも、現金志向は根強い
Z世代やミレニアル世代を中心に増税前の消費は増加
アンケート調査で「増税を理由に10月1日より前に商品やサービスを購入したか」という質問に「買い物をした」と回答した人は53%でした。世代別では18〜24歳のZ世代が65%、25〜38歳のミレニアル世代が58%を占め、若い人ほど駆け込み消費に積極的なことが分かりました。
Criteoのデータを見ても、ページビューの推移がほとんど一定であるのに対して売り上げCVRの動向は、増税前最後の週末となった9月28日、2019年8月平均(2019年8月1日から4週間の平均値を100とする)に対して56%増を記録しています。
一方で、気になる増税直後の落ち込みは16%減にとどまりました。また2週後には8月平均の水準まで回復しました。
増税直後の消費の落ち込みは2014年の増税時より緩やか
増税後の消費の落ち込みは二日酔いや後遺症を意味する「ハングオーバー」とも呼ばれますが、2014年4月1日に消費税が5%から8%へ上がったときと比較すると、影響は軽微だったようです。2014年のデータと比較可能な健康美容分野で見ると、当時は増税直後、2014年2月水準に対して53%もの落ち込みを記録していますが、2019年の増税では落ち込みは2019年8月平均の15%減にとどまっています。
落ち込みが少なかった要因としてガレスピー氏は、この後説明するように駆け込みで買われたのが必需品中心で単価も低く増税後とのギャップが比較的少なかったことと、企業のマーケティング施策によって増税後の購買が引き上げられたことの2つを挙げています。
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