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過度なオンラインショッピングは「依存症」、感情に基づく広告etc. Gartnerの戦略的展望:テクノロジーと人間の関係(1/2 ページ)
Gartnerが発表した重要な戦略的展望トップ10からマーケティングやCX(顧客体験)に関わる人々が知るべきポイントを紹介する。
オーグメンテーション(拡張)、意思決定、感情、コンパニオンシップ(仲間などの他者との関係性)というテクノロジーが担う4つの側面は人間の能力を強化する。テクノロジーの発展に伴い人間の期待も変わる。
Gartnerは、2020年以降2025年に向けて10の戦略的展望を発表している。これはGartnerの複数人のアナリストが数カ月をかけてまとめた将来予測であり、デジタル世界の人間のありようを掘り下げるものだ。
2019年11月14日に日本で開催された「Gartner IT Symposium/Xpo 2019」ではGartnerアナリストのアルバロ・メロ氏が講演し、主に企業のCIO(最高情報責任者)を対象に、ビジネスの成長と従業員のキャリア育成の観点からそれぞれの展望の要点を語った。
重要な戦略的展望トップ10
Gartnerが発表した重要な戦略的展望トップ10は、以下のようなものだ。
- 2023年末までに、IT部門の30%は、従業員のヒューマン・オーグメンテーションに対応するために、「個人の拡張能力の業務利用(Bring Your Own Enhancement: BYOE)」によってBYODポリシーを拡大する。
- 2023年までに、障害のある従業員を雇用する機会は、AIや最新テクノロジーによって3倍に増加し、就業への障壁が低くなる。
- 2024年までに、数百万人がデジタルコマースを濫用し、金銭的なストレスに直面することから、世界保健機関(WHO)は過剰なオンラインショッピングを依存症と認定する。
- 2024年までに、AIによる感情の識別が、表示されるオンライン広告の半分以上に影響を及ぼす。
- 2023年までに、個人の活動は「挙動のインターネット」を通じてデジタルに追跡され、全世界人口の40%のメリットやサービスの資格に影響を及ぼす。
- 2023年までに、プロフェッショナルな従業員の40%が、音楽ストリーミングのエクスペリエンスのように、ビジネスアプリケーションのエクスペリエンスや機能を調整する。
- 2025年までに、銀行口座を持たないスマートフォン所有者の50%が、モバイルでアクセス可能な仮想通貨口座を利用する。
- 2023年までに、世界のニュースやビデオコンテンツの最大30%がディープフェイクテクノロジーに対抗するブロックチェーンによって本物であると認証される。
- 2023年までに、G7のうち4カ国以上では、AIおよび機械学習の設計者を監督するための自主規制団体が設立される。
- 2021年末までに、従来型の大企業は、デジタル・トランスフォーメーションの取り組みに対し、平均して想定の2倍の期間とコストをかけることになる。
以下では10の展望の中でITmedia マーケティングの読者の業務に特に関わりの深い幾つかのトピックに絞ってメロ氏の報告を紹介する。
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