Googleによる買収で話題の「Looker」は他のBIとどこが違うのか:日本でもサービスを本格提供(1/2 ページ)
変化するニーズを捉えたユニークなBI製品を提供して注目を集めるLooker。その特徴をまとめた。
Looker Data Sciences(以下、Looker)は2019年7月9日、日本で初の年次イベント「JOIN Tokyo 2019」都内で開催した。同日には事業戦略説明会も実施し、2018年9月に設立した日本法人が今後国内で本格的に事業展開を進める方針を明らかにした。
同社は2013年にシリコンバレーで創業。ビジネスインテリジェンス(BI)とビッグデータ分析ソフトウェアの「Looker」を提供し、世界で1700社以上に導入されている。
2019年6月にはGoogleのクラウド部門Google CloudがLookerを26億ドルで買収することを発表している。買収手続きは2019年後半に完了する見込みで、それがLookerの事業にどのような変化をもたらすのかは、現時点では明らかになっていない。今回のイベントでもその点についてはほとんど触れられていないが、買収後もAWSなど他のクラウドプラットフォームとの連携は保持されるなど、基本的には現在の戦略をそのまま踏襲するとみられる。
Lookerの特徴
Lookerで最高製品責任者を務めるニック・コールドウェル氏はMicrosoftで「Power BI」の責任者を務めた後に大手オンラインコミュニティーサイト「Reddit」のエンジニアリング担当バイスプレジデントをへて現職に就任している。
Lookerのミッションは「データをよりスマートに活用することによってユーザーがより多くのことを行えるようにする」というものだ。
コールドウェル氏は「Lookerはアナリスト向けというより企業に属するあらゆる従業員がデータを活用するためのツール。データとデータのオペレーションについての考え方が抜本的に他と異なる」と語る。
Lookerの特徴は「柔軟なモデリングレイヤー」「インデータベース」「拡張可能なWebアーキテクチャ」の3つだ。
Lookerでは「LookML」というモデリング言語を利用して自動的にSQLを生成し、全ての指標をLookerで定義し、一元管理する。これにより、組織の中で部門ごとに指標の定義が違うといった混乱を避けられる。いわゆる「シングルソースオブトゥルース」を実現するのだ。
また、Looker内部にデータを持たず直接DWH(データウェアハウス)に通信することで、データを最新の状態で深掘りできる。クエリを簡素化し、データ管理側の負担も削減してDataOps(データの利用者と管理者の協調)を促進する。もちろん、利用者の自由度も高まる。
そして、API経由でさまざまなアプリケーションにLookerをエンベッド(埋め込み)でき、既存のワークフローとも柔軟に連携する。他のBIにはない多目的な用途で多様なユーザーのデータ活用に貢献できるというわけだ。
コールドウェル氏はLookerの活用法の1つとして、デジタルマーケティングにおけるアプリケーション構築事例を紹介した。
ある企業ではGoogleやLinkedinなど広告出稿先のデータソースからデータを集め、マルチタッチアトリビューションをダッシュボードで可視化している。これによりマーケターはパフォーマンスをリアルタイムで把握し、CTRに応じて入札を調整するなど広告出稿を最適化できる。
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