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ファンケル、PLAZA、QVC 小売業が自社アプリを持つべき理由とは?現場担当者が語る(1/2 ページ)

2019年5月15日に開催された「アプリの虎 Vol.4 〜有名企業のアプリ活用最前線〜」において、有名小売企業各社の担当者がモバイルアプリを作った理由や活用事例を語った。

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 なぜ小売業はアプリを持つべきなのか。Repro、FROSK、ロケーションバリュー、モンスター・ラボのアプリマーケティング支援事業4社が共催したイベント「アプリの虎 Vol.4」において、有名小売企業でアプリ運用の実務を受け持つ担当者が、自社アプリを作った理由と活用のポイントなどを語った。

ファンケルお買い物アプリ:LTV向上に向けシンプルな購入体験を提供


ファンケルの萩山智也氏

 化粧品と健康食品などの製造・販売を手掛けるファンケルは、「FANCL お買い物アプリ」と「FANCL メンバーズアプリ」の2種類のモバイルアプリをAppleの「iOS」とGoogleの「Android」向けに提供している。

 ファンケルの販売チャネルは通信販売と直営店舗、卸販売と3つに分かれる。この中の通信販売はネット通販とカタログ通販に分かれ、ネット通販はさらにWebとアプリに分かれる。後者がお買い物アプリの守備範囲で、その運営を担うのが、ファンケルの萩山智也氏(通販営業本部 販売企画部 サイト管理G)だ。

 お買い物アプリは2015年、いつもの商品を買いやすくすることにフォーカスし、Webサイトの機能を絞り込んでシンプルなUIを設計したものとしてスタートした。「化粧品を探す」「健康食品を探す」など、買うことだけに特化した作りで、当時のスマートフォンサイトと比較して約半分の時間で目当ての商品を探し、購入できるようにした。また、アプリはプッシュ通知ができるところも重要と考えた。

 アプリをリリースした目的を企業目線で見るとLTV(顧客生涯価値)の向上ということになる。LTVとは購入回数と購入単価の掛け算だ。繰り返し購入してくれる人とはすなわちヘビーユーザーであるので、ターゲットはそこに定めた。また、Amazon.comなどのオンラインモールにも出店している商品を、わざわざ企業のアプリ経由で購入してくれる人となると、自ずとロイヤルティーの高い人に絞られるということでもある。

 実際、獲得できたのはヘビーユーザーが多く、LTVもアプリ利用前と比較して10%上がるとことが分かった。ただし、萩山氏にとって意外だったのは、それが購入回数の増加でもたらされたのではなく購入単価が上がった結果として実現したということだ。

 「ホーム画面の目立つ場所に限定商品やセール商品を分かりやすく配置できることで、プラス1品の購入を後押しできたのではないか」と萩山氏は分析する。

 プッシュ通知に関してはモバイルマーケティングツールの「Repro」を活用。内容に応じて全ユーザーを対象とした一斉配信と、年代や性別、クラスタなどを掛け合わせたセグメント配信を使い分けて、フリクエンシー(配信頻度)をうまくコントロールしている。また、プッシュ通知とリンク先のメッセージをワンセットとすることで、一貫した顧客体験を提供してコンバージョンを促すように工夫している。なお、プッシュ通知は効果が高い半面、瞬間的なトラフィック増によりサーバに過剰な負荷を書けてしまう懸念もある。この課題を避ける上ではReproの分散通知機能が役に立っている。

 プッシュ通知を導入した結果、アクティブユーザー数は約3倍になり、売り上げにも貢献しているという。

 萩山氏は「ECアプリはお買い場であってメディアではない」と強調する。ダウンロード直後の定着率向上といったことを目指す必要はない。コンテンツを充実させることに労力をかける必要もない。重要なのは買いやすさや次回以降の買い物時に役立つ情報提供。低コストでシンプルなアプリ運用を実践することは、結果としてLTV向上という目的に最短距離近づくためのポイントとなるようだ。

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