D2Cが切り開いた市場に大企業が参入、どうする?:CXが拡張するD2Cの可能性(後編)(1/2 ページ)
ベースフード代表取締役社長の橋本 舜氏、Minimal -Bean to Bar Chocolate-代表の山下貴嗣氏、ウツワ代表取締役のハヤカワ五味氏がD2Cの可能性を語った。
商品の製造から販売までを垂直統合したD2C(Direct to Consumer)のビジネスモデルで事業を手掛ける気鋭の起業家が「CX DIVE 2019」のパネルディスカッションに登壇。前編の議論を受け、D2Cの課題と今後の展望について語った。
「しゃーなしD2C」のマーケティングにSNSは不可欠
スタートアップ企業はビジネスを起こす手段として、好むと好まざるとにかかわらずD2Cに向かうことがある。ベースフードの橋本 舜氏はそれを「しゃーなしD2C」と呼ぶ。そのような企業が広告宣伝に潤沢な予算をかけられることはまずない。そこで、自社の製品の魅力を拡散してもらうためのPR活動が意味を持つ。とりわけ、SNSの果たす役割は重要だ。SNSでの評判をきっかけにランジェリーブランド「feast」を立ち上げたハヤカワ五味氏は、フォロワーを「自分のブランドの良さを皆に伝えてくれる伝道者」と位置付ける。
Minimalの山下貴嗣氏は、同ブランドのクラフトチョコレートがSNSで評判になった要因の1つは、1号店を設けた東京・富ヶ谷という場所柄にあると見ている。近年では「奥渋谷」とも呼ばれる富ヶ谷は、富裕層が多く住む松濤や代々木上原にも近い。「デザイナーや芸能人など感度の高い人が来店して、ここしかない、自分しか知らない品としてお土産に買ってくれる。自分たちのブランドと相性のいいインフルエンサーにプロダクトを適切に届けられたのが良かった」と山下氏は語る。
上質なものを見極める人々の口コミは、フォロワー数以上の影響力がある。試食しておいしいと感じてもらい、「Minimalのチョコレートはカカオの産地によって味が違う」といった店舗スタッフの説明を加えることで、価値を納得してもらえる。味の違いを体験した人は感想を誰かに話したくなるし、SNSにも投稿したくなるというわけだ。
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