ファンケルに学ぶ、チャットbot活用を残念事例で終わらせないための考え方:まずは顧客のストレスをなくすことから(1/2 ページ)
期待が大きい半面、失敗も多いチャットbot活用。投資を無駄にしないためにどうすればいいのか。ファンケルの実践例に学ぶ。
マーケティングやカスタマーサービスにおけるチャットbot活用が注目されている。その背景には、チャット形式のコミュニケーションプラットフォームが普及したことと、Web接客や自動対応のニーズが向上したことが挙げられる。
一方で、チャットbotを導入しても結局成果につながらないケースも少なくないようだ。調査会社のGartnerは2019年1月に「2018年に提供開始されたbot/VA(バーチャルアシスタント)アプリケーションの40%が2020年までに廃止される」と予測している(関連記事「生存戦略としての顧客体験、どこから着手する? Gartnerのアナリストに聞く」)。
さまざまな用途が期待されるもののチャットbotはまだ黎明(れいめい)期であり、多くの企業はまだ正しい使い方を模索している段階だろう。そうした中でもチャットbotをスムーズに導入し、運用に乗せている企業はある。無添加化粧品やサプリメントで知られるファンケルもその1社だ。同社の取り組みについて、ファンケル カスタマーサービス部お問合せグループの間納大介氏と廣石亮一氏に話を聞いた。
顧客対応は通販企業の重要課題
ファンケルは、1980年に池森賢二氏が創業し、個人で化粧品販売を始めて以来、通信販売を主力チャネルとして成長してきた。1997年からはEコマースにも注力するようになり、直営店舗やドラッグストアなど販路を拡大した現在でも、やはりカタログとECを合わせた通販の売り上げ比率が約4割を占める。
通販ビジネスの王道は大まかにいって、広告などで認知を得てお試しキットの購入で商品の良さを知ってもらい、継続を促して優良顧客に引き上げるというものだ。店舗販売と異なり顧客接点が電話かオンラインに限られるため、問い合わせ窓口の果たす役割は重要だ。
ファンケルでは顧客のさまざまな要望に応えるため、化粧品に関する質問ができる「美容相談室」、健康食品やサプリメントについて質問できる「サプリメント相談室」など複数の相談窓口を設置し、顧客に向き合ってきた。
しかし、健康志向の高まりや2014年に始まったサプリメントの定期便サービスが好調であることなどから、電話とメールによる問い合わせ件数は倍増し、その対応が課題になっていた。わざわざ問い合わせをくれた顧客を長時間待たせたることは、できる限り避けたい。顧客をFAQ(よくある質問)ページに誘導して自己解決してもらうなどの対策はもちろん試みてはいたが、回答に至るまでの離脱が多く、十分に機能しているとは言い難い状況が続いていた。
この課題に取り組むための第一歩として、ファンケルが商品の返品・交換や契約内容変更などのサービス窓口に導入したのが、オウケイウェイヴのB2B向けFAQ作成・管理サービス「OKBIZ. for FAQ」とチャットbotサービス「OKBIZ. for Chat & Bot」(以下、まとめてOKBIZ)だ。
FAQページを改善、コンテンツをチャットbotでも利用して運用効率アップ
廣石氏は、OKBIZ導入の理由を次のように語る。
「これまでのシステムでは、途中離脱してしまう原因がコンテンツにあるのかUI(ユーザーインタフェース)にあるのかも分析できない状態でしたが、OKBIZの分かりやすいレポート機能のおかげで、ページのどこに問題があるのか見える化できました。問題があるページはWebブラウザから簡単に更新できます。そして、FAQページのコンテンツをそのままチャットbotと連携させることができることで、管理の手間が省ける。これが大きな魅力でした」
チャットは電話やメールに続く第3の顧客接点として期待される。ここに問い合わせを分散させ、さらにbotで自動対応することで運用効率は上がる。つまり、顧客にストレスを与えないで済む。
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