商談数を2倍にしたMA活用、おかんマーケターが知識ゼロから成果を生むためにやったこと:おかんマーケターの働き方革命(1/2 ページ)
育休明けに営業からマーケティングにジョブチェンジを果たしたおかん。マーケティングオートメーションって何それ状態から成果を生むために何をしたのか。
前回「マーケティング未経験の2児の母、育休明け1年半でMarketo Championになる」では、2014年の12月から2年半にわたり産休と育休を取っていた私が2017年の5月に復職するに至ったいきさつについて述べました。
今回は、PR&Marketing部に配属されてからやってきた実務について紹介したいと思います。
おかんマーケターが勉強して学んだこと
PR&Marketing部に異動した私のメインの仕事は、メディア露出やイベント出展、セミナーなどを企画してサービスの認知拡大を図り、そこで獲得したリードに対してナーチャリングを行い、商談まで引き上げることです。KPI(重要業績評価指標)は商談数ということになります。
新卒からずっと営業としてキャリアを積んでいたため、恥ずかしながらマーケティングの知識がほぼない状態からのスタートでした。幸い、当社UNCOVER TRUTH自体がデジタル領域の事業を展開しているため、いわゆるデジタルマーケティングの知識はある程度ありましたが、顧客と長期的な関係性を作っていくマーケティングを自分で実行するのは初めてだったため、「エンゲージメント?」「ナーチャリング?」と頭にはてなマークが浮かぶばかりでした。
そのため復職当初は、何をすべきか、何から手を付ければ良いのか分からずとても苦労したことを覚えています。それまでもイベントの企画やメール配信など“点”での業務は行っていましたが、市場や事業の全体像を捉えてMAツールを活用しながら中長期的な施策をプランニングするような経験はありませんでした。自分が主体的にゼロイチで施策を考えることになるなんて想像もできませんでした。
そこで最初の数カ月間は、上司や周りから薦められた書籍を読んだり、外部のセミナーにどんどん参加したりするようにしました。配属されたばかりの頃は、施策の実行部分のみを担当していたので、比較的時間に余裕があったのです。今の自分の目で見れば、いや、ちゃんと自分で施策から考えろよって思いますが(笑)、周りの方々も焦らず見守ってくれたため、知識をたくわえたり自分なりの考え方を固めたりするための貴重な時間が過ごせたと思っています。
マーケティングの手法や考え方など、社内外を含めていろいろな情報に触れる中で、今やろうとしているマーケティング業務も本質は営業と同じで「お客さまの心をどう動かすか」ということだと気付きました。復職から3カ月ほどたってようやく、PR&Marketing部に入ったときの動機と実際の業務内容が結びついたのです。
そのときに、MAツールというのは私のミッションを達成するためのコミュニケーションツールなのだと理解しました。私のミッションは「お客さまに最適なタイミングで(オンラインかオフラインかを問わず)最適なアプローチをすること。それにより、自社をおきゃくさまにとって気になる存在にして、好きになってもらう。好きになってもらった後も、お客さまの各タッチポイントで期待に応えたり心地よいコミュニケーションを取ったりすることによって、長期的に良好な関係を築いていく」ことです。
MAツールを起点に考えるのではなく、MAもミッションを達成するための1つの手段であることを理解すると、何も難しいことはありません。「自分が今まで営業でお客さまにしてきたワンツーワンのコミュニケーションやご提案を、今まで対面できなかったさらに多くの潜在的なお客さまに行うことができるんだ」というわくわくした気持ちに変わりました。
まずは結果が出るところから取り掛かる
頭がスッキリしてからは、KPIである商談数を引き上げるために現状のマーケティングファネルを整理し、まず取り掛かるべきところを決めました。
当社ではMarketo導入当初、カスタマージャーニーを作ってスコアリングモデルを構築していましたが、自社の想定した通りにはユーザーが動いてくれず、営業へのリードの引き渡しなどがなかなかうまくいきませんでした。経営層からも「B2Bでメール施策を打っても、見る人がいないんじゃない?」「うちみたいなスタートアップがMAを使って意味あるの?」といった声が聞かれたので、まずは小さくても短期間で結果を出すことにフォーカスをして、社内理解を得る必要があると考えました。
当社で商談を獲得するチャネルは主に、自社のコンテンツに興味を持ってもらうインバウンドマーケティングと、リードの行動を見てコールするアウトバウンド、セミナーなどのイベント、紹介などがあります。
アウトバウンドやインバウンドで商談を増やすには時間がかかります。そこでまずは、開催ごとに一定の商談数が見込めるセミナー運営を軸に、MAをしっかりと活用して商談数を拡大させるところから取り掛かることにしました。
具体的には、セミナーLPの作成、集客、当落選、リマインド、お礼メールといった運営の部分を全てMarketoでプログラムとして構築し、その分浮いた人的リソースを、できる限りセミナー内容自体の企画にかけるようにしています。
また、当社の特徴的な取り組みとして挙げられるのが、セミナー開催後のお礼メールの送り方です。当社からのお礼メールは毎回開封率が70%以上と非常に高く、さらに、メールを開封したほぼ全ての方がリンクをクリックしてくれます。
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