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大企業の中の「地味め」事業をB2Bデジタルマーケティングで世界へ――ダイキン工業化学事業部の挑戦製造業のグローバル展開(1/2 ページ)

主力の空調機事業が売り上げの9割を占めるダイキン工業。世界に冠たるB2Bの有名ブランドの陰で、小さな事業部がグローバル展開を模索している。

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 これからはB2Bの化学業界でもデジタルマーケティングが当たり前の時代が来る。ダイキン工業(以下、ダイキン)化学事業部でマーケティングを担当する新家伸洋氏はそう確信し、2016年からグローバルでの仕組み作りを進めてきた。フッ素化学分野における世界一の地位を確立するため、デジタルを活用することになった経緯と今後の展望について、新家氏が語った。


ダイキン工業 化学事業部マーケティング部長の新家伸洋氏

激しいグローバル競争を勝ち抜くために

 大阪に本社を構えるダイキンは、2000年代からグローバリゼーションを積極的に推進してきた。同社の2018年3月期の連結売上高は2兆2906億円。うち海外事業比率は76%だ。グローバル企業に成長したダイキンの主力事業は家庭用および業務用のエアコンなどを扱う空調・冷凍機事業で、ここからの売り上げが全体の約90%を占める。これに対して、化学事業の連結売上高は1831億円と全体の約8%にすぎない。しかし、フッ素化学分野に限定すると、実は世界市場で第2位に位置付けられるのだという。

 同社の化学材料の販売先は、自動車、半導体、電池・エネルギー、生活用品のメーカーだ。私たちにとって一番身近なのが、フライパンの表面加工やスキーウェアの撥水加工などであろう。

 ダイキン工業ではフッ素化学の市場規模が2020年に約8000億円になると予測している。2015年から2020年までの年間平均成長率をは推計約2%と、残念ながら大きな成長は見込めない。世界でのライバルは旭硝子、ケマーズ(旧デュポン)、ハネウェル、ダイネオン(スリーエム子会社)、アルケマ、ソルベイ。この他、内需拡大を追い風に中国企業3社も力を付けてきており、ダイキンは激しいグローバル競争の中にいる。

 「この市場でダイキンがグローバルナンバーワンになるには『先手必勝』『用途開発』『人材育成』という3つの経営課題を解決し、デジタルイノベーションを進めなくてはならない」と新家氏は断言する。「先手必勝」とはマーケティングに長けた欧米競合の意思決定のスピードに追随すること、「用途開発」は顧客であるメーカーのニーズをいち早く捉え付加価値の高い材料を提供すること、「人材育成」は若い世代がリーダーシップを十分に発揮できるようにすることだ。

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