KDDIのB2Bコンテンツマーケティング――“auの会社”のイメージを超えて未来の顧客とつながる:当事者が語る3つの挑戦(1/2 ページ)
有名企業といえども全てのビジネスの認知度が高いわけではない。知る人ぞ知るB2B事業の認知度向上に向けたKDDIのコンテンツマーケティングの取り組みとはどのようなものか。
2018年2月21日、日本で5周年を迎えたトレジャーデータが、デジタルマーケティングのカンファレンス「Treasure Data PLAZMA 2018」を開催した。本稿ではその中から、KDDI ソリューションマーケティング部 主任 石黒貴志氏と日本ビジネスプレス 企画開発部 部長 鵜山雄介氏によるトークセッションの内容を、ダイジェストで紹介する。
リード獲得でメディアと協業する意義
KDDIは法人向けにIoTやクラウドサービスにも注力しているが、テレビCMの影響もあり、一般的にはコンシューマー向けの携帯電話会社というイメージが強い。逆に言うと「KDDI=au」としてはよく知られていても、「企業のデジタルトランスフォーメーションを支援する会社」としての認知はまだまだ弱いということになる。
KDDIのB2Bマーケティングを担うソリューションマーケティング部では、そこに課題を感じていた。そこで、同社では問題解決のためのマーケティング施策を3つ実践している。1つ目は、ABM(アカウントベースドマーケティング)、2つ目はコミュニケーションファネルの定義。そして3つ目がメディアとの協業だ。
ABMは優先的にアプローチすべきターゲットに対してきちんと伝えたいメッセージを届けることを重視する。次にコミュニケーションファネルを定義して、潜在層、顕在層、無関心層を見極め、それぞれにきちんと届く形でコミュニケーションを取らなければならない。ときには課題解決を啓もうしながら、顧客との関係を構築させていく必要もあるだろう。しかし、全てのコミュニケーションを自社だけで担うのは、さすがに無理がある。
「当事者であるKDDIが課題の啓もうをしても、うさん臭いと思われるのが関の山であり、お客さまには届かない。当社は通信サービスを提供する会社であり、社会に啓もうを行う会社ではない」と石黒氏は語る。また、そもそもオウンドメディアがあっても、KDDIが法人向けサービスを提供していることすら知らない人は、そこにたどり着くことすら難しい。
そこで、メディアとの協業が必要になる。まずは第三者であるメディアの看板の下で課題を啓発し、興味を持ってくれた人々をリード(見込み客)として自社のオウンドメディアに誘導し、独自コンテンツを見せてより深い理解を促そうというわけだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「Adobe Symposium 2017」レポート:KDDIが挑む「デジタルデマンドウオーターフォール」 への道程――ABMの伝道師が語る
「Adobe Symposium 2017」におけるKDDI 中東孝夫氏の講演から、同社が進めるアカウントベースドマーケティング(ABM)の取り組みについて学ぶ。 - リード研所長が聞く:B2BとB2Cでマーケティングはどう違うのか? ABMの伝道師に素朴な疑問をぶつけてみた――中東孝夫氏(KDDI)
アカウントベースドマーケティング(ABM)が注目されている。日本においてそれをいち早く実践し、成果を上げてきたエキスパートに話を聞いた。 - 今日のリサーチ(「調査のチカラ」より):B2B企業のマーケティング担当者、新規顧客獲得施策の効果に4割が「満足していない」――フルスピード調査
B2B企業におけるデジタルマーケティングの活用実態とは? - 【連載】BtoB企業のためのコンテンツマーケティング入門 第1回:コンテンツマーケティングがBtoB企業のWeb担当者を救う
多くのBtoB企業のマーケティング担当者やWeb担当者と接してきたが、ほとんどの方が自社のWebサイトに対して停滞感や行き詰まりを感じている。事態を改善するには、これまでとやり方を変え、次の手を打たなくてはならない。そのために有効な手段である「コンテンツマーケティング」について、初めての方にもできる限りわかりやすくご紹介していきたいと思う。