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AIベースのマーケティングオートメーションでデータが不十分な企業でも勝てる――Appier CEOに聞く台湾発の注目AI企業が打ち出す新たな一手(1/2 ページ)

台湾発のAIテクノロジー企業Appierが満を持してマーケティングオートメーションプラットフォームをローンチした。その狙いとは何か。CEO兼共同創業者のチハン・ユー氏に話を聞いた。

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 スタートアップの動向を調査・分析する米CB Insightsが「The AI 100」というレポートを発表している。ここにおいて、2000を超える企業の中から革新的なAI技術に取り組んでいる100社として2年連続で選出されているのが、台湾に本籍をおくAppier(エイピア)だ。同社は2018年6月には「NetworkWorld Asia(NWA) Information Management Awards 2018」において、APAC(アジア太平洋地域)のCIO(最高情報責任者)やCISO(最高セキュリティ責任者)およびIT/データセンター統括部長による投票で「最も有望なAIソリューション」を受賞するなど、ユーザー企業からの評価も高い。

 Appierは、AI(人工知能)をベースに企業の経営課題解決を支援するためのテクノロジーを提供する。同社は台北の本社と東京・大阪を含む14拠点でビジネスを展開し、APACでビジネスを拡大させ続けている。2017年8月には3回目となる資金調達を実現。ソフトバンクグループ、LINE、NAVERなどから、3300万ドルの出資を受けた。

 現在のAppierの主力ビジネスとなるのはデジタルマーケティング支援の領域だ。これまで、マルチデバイス対応の広告プラットフォーム「Cross X AI」に加え、オーディエンス分析・予測を実現するデータサイエンスプラットフォーム「AIXON(アイソン)」を提供してきた。そして、2018年8月には満を持して、AI主導の次世代マーケティングオートメーション(MA)プラットフォーム「AIQUA(アイコア)」をリリースした。

 これらの製品が何を実現するのか。そしてAppierがAIで成し遂げようとしていることは何か。CEO兼共同創業者のチハン・ユー氏に、同社の事業戦略について聞いた。

チハン・ユー氏
チハン・ユー氏

3つの製品でマーケティングファネル全体をカバー

――新製品のAIQUAは「AI主導の次世代マーケティングオートメーションプラットフォーム」ということですが、他社のMAとの違いを教えてください。

ユー氏 AIQUAの差別化要素は2つあります。まず私たちのソリューションは、お客さまの社内データベースだけを考えていないということにあります。自社サイトのやりとりだけを中心に見ていると、どうしてもカスタマージャーニーが限定されてしまう。AIQUAの設計で重視したのは、どうすればお客さまが社外の顧客接点にリーチできるかということでした。自社のデータ以外で顧客が何をしているかが分かれば、リーチが広がる分、顧客に対して先行的(プロアクティブ)に手を打てます。これがAIQUAの設計で重視した1つ目のポイントです。2つ目は、クロスデバイスでも顧客を統合的に見ることができること。一般的にデータはデバイスごとに分断してしまいますが、私たちは他とは違うテクノロジーで顧客を統合的に見ることができるのです。

――AIQUAの導入事例について教えてください。

ユー氏 AIQUAは発売以降、順調に採用が進んでいます。例えば南インドのあるOTT(Over the Top)プロバイダーが採用した例では、コンバージョンを50%向上させました。OTTというのはつまり、Netflixのようなサブスクリプション型の動画配信サービスのことです。サブスクリプションビジネスでは、無料会員の興味関心を醸成して有料会員への転換させるとともに、既に契約済みの有料会員に使い続けてもらい、解約の予兆があれば対策を打つことも必要になります。AIQUAはその両方に役立つのです。

――Appierの製品ポートフォリオには、MAだけでなく広告配信やAIによるオーディエンス予測分析があります。CrossX AIに始まって次がAIXON、そして今このタイミングでマーケティングオートメーションのAIQUAをリリースしたのは、何らかの技術的なブレークスルーがあってのことなのでしょうか。

ユー氏 というよりも、むしろお客さまのニーズに応えた形です。私たちは常に市場主導型のイノベーションを重視しています。AIXONをリリースしたときも同じで、お客さまの課題を解決するため、よりシンプルなAIソリューションを提供したかったのです。

――AIQUAを他の製品を合わせて使うことで、どのような効果が得られるのでしょうか。

ユー氏 Appierの製品は「見込み客選定・獲得」「維持・訴求(エンゲージ)」「オーディエンスの精査」まで3段階の処理をサポートします。CrossX AIはマーケティングファネルの上位に位置付けられ、見込み客を獲得する機能、ファネルの中間がAIQUAで既存ユーザーをロイヤルユーザーに転換する機能、ファネルの一番下はAIXONがロイヤルユーザーの将来の行動を予測する機能を担います。Appierのソリューションは3段階それぞれでデータを見逃すことがないよう、入手した全てのデータを保存します。


Appierが提供する3つのAIソリューション(出典:Appier)《クリックで拡大》

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