SaaSビジネスは「売って終わり」ではない そこで成長する人材の条件は?:マルケト×FORCAS(1/2 ページ)
マルケトとFORCASでセールスとカスタマーサクセス領域を担うエキスパートがSaaSビジネスとそこでのキャリア形成について語り合った。
企業のアカウントベースドマーケティング(ABM)実践支援を手掛けるFORCASは2018年9月10日、マルケトと共同でキャリアに関するイベントを開催した。
近年の市場拡大に伴い人材需要も高まるSaaS業界だが、新たな領域であるが故に仕事のやりがいや面白さ、キャリアプランを具体的にイメージできない人も多いことだろう。
「Marketo×FORCAS SaaSセールスのためのCareer Night」と題した本イベントでは、B2BのSaaS領域の最前線で活躍しているプレーヤーが、どのようなきっかけでこの領域に飛び込み、いかに自分のキャリアを切り開いてきたかを語った。セッションは2部構成で、第1部はセールス、第2部は最近注目のカスタマーサクセス(CS)がテーマとなっている。
SaaSセールスは「駅伝」
マルケトでコマーシャル営業部部長を務める弘中丈巳氏は、マルケトが日本で創業したときからのメンバーで、営業やインサイドセールスなど社内各部門の立ち上げを手掛けてきた。弘中氏は現在の業務であるのSaaSセールスの面白さのポイントとして「変数が多くなったこと」を挙げる。これまでと異なり、今はサポート窓口への問い合わせ状況といったデータも多く取れるようになった。継続利用が重要なSaaSのセールスは、売って終わりではなく、むしろ成約後が勝負とさえいえる。「クロージングの前に顧客との関係性を広げておくことは、その後のアップセルにもつながる。こうしたことまで考えて動くのが、SaaSセールスの難しさでもあり、面白さでもある」と弘中氏は語る。
FORCASが会社としてスタートして1年、同社COO(最高執行責任者)の田口槙吾氏は、新規顧客獲得からインサイドセールス、カスタマーサクセスまであらゆる社内業務を手掛けてきた田口氏は、SaaSセールスの魅力を「駅伝」に例えた。「マーケティング、インサイドセールス、セールス、カスタマーサクセスという分業体制で、それぞれの担当者は自分の役割を果たして次にたすきを渡す。社内の連携をダイレクトに感じられるのが面白い。売ったら終わりではなくて、売った前後の様子もリアルに感じられる」(田口氏)。
SaaSビジネスにおける「売れる人」の定義
それでは、SaaSのセールス担当としてハイパフォーマーとなるには何が必要なのだろうか。弘中氏は「初回訪問時に『分からないことあったらあなたに聞くね』とお客さまに言ってもらえる関係性を持ち帰れる人」を挙げた。顧客がいつ購入を決断するかは予測できない。訪問から時間がたっても、「そういえばあの人」と思い出してもらえたら、受注は向こうからやってくる。そんな状態を作るために、顧客のビジネスモデルやビジネスプロセスを把握し、顧客本位の提案をできる人が高いパフォーマンスを出せるようになるというのだ。
一方、田口氏はSaaSビジネスにおける「売れる人」の定義として「後工程のことを考えている」ことを条件に挙げた。契約後1年間の顧客の使い方を想像して、リアルな提案をしている人の方が継続して高いパフォーマンスを挙げていることを、肌で実感しているという。「顧客との関係性を築ける人、顧客からのアラートに気付くことができる人が、ハイパフォーマーになる。SaaSはLTVが可視化されているので、スポットで売れる人よりも長く売れる人が、同時にハイパフォーマーとして可視化される」と述べた。
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