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アドビがデータ流通と売買を実現するマーケットプレースを提供、KDDIの事例では集客コストを大幅削減「Adobe Audience Manager Audience Marketplace」が国内で利用可能に(1/2 ページ)

Adobe Systemsは、同社の顧客とデータプロバイダー間のデータ取引を行う機能「Adobe Audience Manager Audience Marketplace」が日本国内で利用可能になったと発表した。その具体的な用途と事例について解説する。

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 2018年7月18日、Adobe Systems(以下、アドビ)は同社の顧客とデータプロバイダー間のデータ取引を行う機能「Adobe Audience Manager Audience Marketplace」が日本国内で利用可能になったと発表した。

 Audience Marketplaceは、アドビのデータ管理プラットフォーム(DMP)製品である「Adobe Audience Manager」の一機能として開発された。本稿では、アドビ デジタルエクスペリエンス事業部プロダクトマネージャのクナール・チョプラ氏と同グローバルサービス統括本部プロダクトエバンジェリスト兼シニアコンサルタントの安西敬介氏の話から、Audience Marketplaceの具体的な利用方法について解説する。

クナール・チョプラ氏
クナール・チョプラ氏

自社が保有していない新規のターゲットが明確に

 Audience Marketplaceは、アドビの顧客とパートナー専用のマーケットプレースであり、Adobe Audience Managerのユーザーインタフェースを用いて利用する機能である。

 データの取引には2つのやり方がある。1つは一対一の取引であり、広告主と媒体社、広告主と広告主、媒体社と媒体社がそれぞれ独自に条件を設定し、完全非公開で行う取引だ。もう1つは一対多の取引であり、広告主と媒体社が数多くのプロバイダーの中から、取引相手を選択できる公開取引である。前者と比べ、通常は契約プロセスが複雑になるが、マーケットプレースを経由することでプロセスは簡素化される。企業はこの2つのどちらかを選択し、顧客体験向上のための施策にマーケットプレースを経由してデータを活用することができる。

 チョプラ氏によれば、この機能の特徴は次の3つだ。

  • クリアリングハウス:データ交換所のこと。一元化されていて、データを買いたいという意思の表明から、実際の取引、決済までワンストップで行うことができる。
  • パートナーネットワーク:広範囲なネットワークからさまざまな価値の高いデータを取得し、正確で効果的なインサイトを得ることができる。
  • EC同様の体験:取引対象がデータの場合も、商品売買と同様の買い物体験を提供できる。

 Audience Marketplaceの代表的な利用例が、ターゲットセグメント抽出のサポートである。この機能を使うと、自社が保有するオーディエンスデータにマーケットプレースのオーディエンスデータを合わせて拡張することができる。それに加えて、重複チェックを行うと、自社が保有していない新規のターゲットが明確になり、既存顧客とは異なる新規見込み客に対して特別なオファーを提供することもできるようになる。

 チョプラ氏が代表的な事例として紹介したのは、高級ホテルを中心として統合型リゾート(IR)事業をグローバルに展開するMGMリゾーツのものである。同社の場合、ファーストパーティーデータは充実しており、質の高いサードパーティーデータへもアクセスできてはいた。だが、問題はデータごとに収集のプロセスが異なり、キャンペーンの市場展開に時間がかかり過ぎていたことであった。

 この課題解決のために活躍したのがAudience Marketplaceだ。マーケットプレースを経由した取引で、これまでは多くのデータプロバイダーと個別に行っていたサードパーティーデータの調達プロセスが簡素化されたのだ。今までは数週間を要していたキャンペーン展開までの時間が数日になった他、多くのデータを活用することで、ターゲットに対してより効果の高い広告キャンペーンを展開できるようになった。

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