広告運用で本当に必要とされる自動化とは何か?:本気で考える広告運用の自動化(1/2 ページ)
プラットフォームの自動化技術が進み、日本の広告運用の現場にもようやく浸透し始めています。とはいえ、全てが自動化に切り替わるかというと、それも現実的ではないようです。
プラットフォームにおける自動化技術、例えばGoogle広告で提供されている入札の自動化機能はかなり以前から提供されていました。しかし、リリース当初、導入するアカウントはほとんどなかったと思います。入札精度が低く、挙動が不安定でコントロールが難しいといったところが主な理由でしょう。
特に、広告主から予算を預かって運用業務を遂行する広告代理店の立場から考えると、コントロールできない、つまり広告主に説明できないものを導入することは、かなりリスクが高いことだったと思います。
ただ、状況はかなり大きく変わってきています。特にここ1、2年の浸透は目を見張るものがあります。AIというビックワードが広告運用の現場にも浸透し、それに合わせて自動入札の導入も加速しています。これは自動入札という技術の進化もさることながら、データを活用したGoogle広告の仕組みへの理解が促進したことも大きな要因だと私は考えています。
運用において理想とされる姿が変わった
Google広告がリリースされて以来、日本における運用型広告は特殊な進化を遂げてきました。セグメントを非常に細かく分割し、ターゲットユーザーに対して的確なクリエイティブを展開し、かつそのセグメント毎のパフォーマンスに応じた入札コントロールを行う運用が主流とされてきたのです。
海外ではここまで緻密な運用はまれであり、結果として日本の運用型広告は非常に高い運用品質を実現していたと思います。ただ一方で、Google広告の根本の仕組みと矛盾する側面を持ち合わせていたのも事実です。それが「データ活用」という視点です。
Google広告をはじめたとしたAI技術の根本は、大量のサンプルデータを収集し、学習させるという点にあります。そのため、従来の日本型の細分化した広告運用を行うと、十分なサンプルデータをプラットフォーム側に返すことができず、ポテンシャルを十分に活用できない可能性があります。そして当然ながら、その延長線上に存在するプラットフォームの自動入札機能もパフォーマンスが出にくくなります。
従来のやり方が本来推奨されない環境での利用に当たるという理解が促進され、今では日本でもセグメントを細かく分割せず、サンプルデータを収集しやすい形の配信設定を行い、プラットフォームの自動化機能をフル活用するという型が主流になりつつあります。統合した運用管理を行うようになった結果、運用工数を削減しつつパフォーマンスも改善するという事例も出始めているようです。
とはいえ、全てが自動化に切り替わっていくわけではなく、そこに新しい課題が存在していると私は考えています。それは「自動化と人の付き合い方」という課題です。
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