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企業の枠を超えてユーザー企業やパートナー企業がつながることの価値――ボストンで「INBOUND」を体験して【連載】HubSpotに学ぶ「働き方改革」 最終回(1/2 ページ)

本連載では3回にわたり、HubSpotのカルチャーやインバウンドマーケティングの考えなどについて紹介してきた。最終回となる今回は同社が開催する年1回のオフラインイベント「INBOUND」について取り上げる。

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 INBOUNDとは、HubSpotが年1回、本社のあるボストンで開催しているイベントだ。2017年は9月に4日間にわたって開催された。2018年も現地時間9月4〜7日に開催されることが決定している。筆者は、2012年より参加しているが、年々規模が拡大し、当時は約3000人だった参加者も2017年には2万5000人に増加している。

 INBOUNDは、インバウンドマーケティングに関連するさまざまなセッションが開かれる「学びの場」であると同時に、HubSpotユーザーやパートナー企業同士が顔を合わせて対話できる「交流の場」でもある。

 こうしたオフラインの大規模なイベントは、Adobe SystemsやSalesforce.com、Marketoなど、他の外資系マーケティングツールベンダーも開催している。だが、それらは主に機能のアップデートなどに話題が集中することが多い。

 INBOUNDでも新機能紹介や製品ロードマップの話もあるが、どちらかというと、インバウンドマーケティングの世界観を伝えるようなセッションが多い。よりコンセプチュアルなテーマを掲げ、最新のマーケティング手法や企業文化について、幅広い話題を提供しているのが特徴だ。

 さらに、セッションだけでなく、夜はライブ演奏が行われるなど、さまざまな趣向を凝らして、参加者のエンゲージメント向上につなげている。

 HubSpotの主要顧客は中小企業だ。ローカルな家族経営の会社も多く、さまざまなビジネスを営んでいる。参加者の顔ぶれが多様である点も興味深い。

世界中の同志たちと会話

 INBOUDの前日には、パートナー企業を対象にしたPartner Day(パートナーディ)が開催される。HubSpotのパートナー制度については第3回で紹介したが、世界各国のパートナー企業が一堂に会し、交流できる絶好の機会となっている。

 Partner Dayは、朝から夜まで1日中開かれ、パートナー企業向けのさまざまなセッションに参加できる。セッションでは、パートナー企業のみに発表されるHubSpotの今後の新機能や、顧客獲得の方法などが紹介された。新しいコンテンツ戦略の機能「Topic Clusters(トピッククラスタ)」や、ソーシャル機能の拡充など、新機能については第2回で紹介した通りだ。

 また、パートナー企業の各種表彰も行われる。当社24-7(トゥエンティフォーセブン)は2017年、APACエリアの「Partner of the Year」に選ばれた。日本のパートナー企業としては初の受賞であり、欧米系の企業が多い中で選出されたのは、非常に栄誉あることだ。

 なお、表彰の場で紹介されたり、パンフレットに受賞企業として社名が掲載されたりしたおかげで、ランチや休憩時間などに他のパートナーとあいさつをすると「Congratulation!」と祝福され、フレンドリーに会話をすることができた。

オフラインのイベントとオンラインのコミュニケーションが循環

 メインイベントであるINBOUNDでは、HubSpotのパートナー企業として最上位ランクに相当するDiamond PartnerのCEOによるセッションも行われ、筆者も登壇した。セッションでは、「HubSpotを活用してどのように課題を解決し、成長してきたのか」をテーマに顧客獲得の方法などが議論された。特に米国ではパートナー企業が増えたため競合が発生している現状を踏まえ、登壇者からは「特定の業種に特化している」「自社のエリアを決めている」など、フォーカスを絞ることでより適切なサポートを実現している事例が紹介された。

 セッション後半の質疑応答では、質問者の列ができて順番が回り切らないほどであった。余談だが、後日ある参加者がブログで「Partner Day内のセッションで、HubSpotのパートナー企業がどのようにHubSpotのビジネスを拡大するか、質疑応答だけのセッションがあってもよい」と述べたところ、HubSpotの人が次年度のPartner Dayで改善するとコメントをしているのを見掛けた。オフラインイベントのフィードバックを参加者がオンラインで発信し、それを主催者が見つけて策を講じるという流れは、いかにもHubSpotらしい。

多様なテーマをさまざまな視点で

 2017年のINBOUNDでは4日間にわたり283個のセッションが開催された。1時間の枠の中で10個ほどのセッションが行われるので、特に興味のあるセッションに絞って聴講することになる。セッションのテーマはさまざまだが、HubSpotの新機能や開発ロードマップにのみならず、AIやチャットbotなど最新テクノロジーの活用から企業経営や組織論、人材採用まで実に幅広い。また、経営者視点、パートナー企業視点、カスタマーサポート視点など、さまざまな立場から語られるので大いに参考になる。

 個人的に学びが多かったセッションとしては、B2Bマーケティングでの動画活用がある。インバウンドマーケティングは、コンテンツを通して、見込み客からの信頼、期待を醸成するものだが、これまでのコンテンツはブログ、eBOOKが中心だった。B2Cマーケティングで動画が大きな影響を持つのと同様に、今後はB2Bマーケティングでも動画が中心になっていくと考えられる。インバウンドマーケティングも例外ではない。セッションでは、先進的な事例などが紹介されたが、今まで同様、見る人に役立つようなコンテンツを考える中で、動画にも力を入れていきたいと感じた。

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