「SASは難しい」の声を払拭し、AIで価値を生み出す――「SAS Viya 3.3」が目指すもの:SAS Institute Japanが2018年の戦略を発表(1/2 ページ)
SAS Institute Japanが今後の同社のビジネスの核と位置付けるAI(人工知能)プラットフォーム「SAS Viya」とはどういうものか。2018年の戦略説明会から読み解く。
2018年1月25日、SAS Institute Japanは、2018年度のビジネス戦略と最新AI(人工知能)プラットフォーム製品「SAS Viya 3.3」に関する説明会を開催。AIで新しい価値の創造に取り組む企業を支援しようとする同社の方向性を明らかにした。
AIを戦略的な柱に
SAS Institute Japan代表取締役社長の堀田徹哉氏によれば、2018年度のSASの成長戦略におけるフォーカス領域は、「Growth」「Relationship」「Secure the Future」の3つだ。そして、SAS ViyaがSASのビジネス戦略において欠かせないものとなるという。
統計やアナリティクスに長年取り組んできたSASにとって、機械学習やAIは目新しい概念ではない。そのため、これまでAIを前面に出すことはしてこなかった。だが、企業の高い期待を踏まえ、今後はAIへの投資の内容や成果を積極的に発信していくことを堀田氏は明言した。
企業が抱える3つのアナリティクス課題
SAS Viyaは、AIの新しいユースケースを想定して開発された。具体的にはどのような製品なのか。SAS Institute Japan ビジネス開発グループ グループマネージャーの小林 泉氏が解説した。
今日、AI活用に取り組む企業は少なくないが、「分析をしたが成果が出ない」「AIに取り組んだがビジネス価値が生まれたかが分からない」といった声もしばしば聞こえてくるようになった。
小林氏によれば、AI活用を次のステップに進められない企業は、アナリティクスライフサイクルにおける以下3つのプロセスで、典型的な課題を抱えるという。
- データハンドリングの課題:データの取得から分析の準備まで、予測モデルを作るツールやアルゴリズムを作る環境は整いつつある。オープンソースのものも含め、ツールは比較的簡単に用意できるようになった。しかし、成果を左右するのは結局のところ「どのデータをどこから持ってくるか」あるいは「データの品質をいかにうまく担保できるか」といったことだ。これを見落としている企業が多く、分析以前に大きな課題を抱えていると小林氏は指摘する。
- 予測モデリングの課題:データサイエンティストが個別に好みのツールを選択した場合、似たようなモデルが複数作出来上がり、かつモデル同士の整合性が取れないというリスクが生じる。また、「誰がどんなモデルをしているか分からない」「スキルギャップがあり、ツールをうまく使いこなせない」など、ガバナンスに加えてPDCAのプロセスを運用できない悩みも大きい。
- 価値創出とガバナンス、実行と評価の課題:モデルはビジネスプロセスを支えるシステムに組み込んで初めて価値を評価できるが、そこに至らないのはモデルを管理するという発想がないからだと小林氏は指摘する。例えば売り上げ増大のように、価値を得るためのモデルならば、企業資産として扱うべきだというのが小林氏の主張だ。小林氏はまた、モデルは意思決定プロセスを組み込んだシステムに展開して初めて価値創出に活用できると述べ、ライフサイクルを通した管理の重要性を強調した。
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