マーケティングの革新と「明日のMarketo」――フィル・フェルナンデス氏(Marketo会長兼CEO):【インタビュー】リード研所長が聞く(1/2 ページ)
進化し続けるマーケティングオートメーション「Marketo」。さまざまな新機能の狙い、そして米Vista Equity Partnersに買収された後の事業の在り方についてトップに聞いた。
リード研究所とは
マーケティング×ITの最先端の動向をB2B中心にお伝えしているITmedia マーケティングですが、発行元である当社アイティメディア自体もまた、「TechTargetジャパン」「キーマンズネット」といったメディアを核にした「リードジェネレーション」を事業とするB2B向けデジタルマーケティングカンパニーとしての一面を持っています。
具体的には、コンテンツを閲覧した会員のプロファイル情報を、関連商品に興味関心を抱くリード(見込み客)情報として、本人のパーミッション(同意)を得た上でスポンサー企業に提供しています。
そこでサービスの企画開発とコンサルティングを担う社内シンクタンク的存在が「リード研究所」なのです。
この連載では、日々クライアント企業の課題と向き合いながらメディアの新たなビジネスモデルを模索し続けるアイティメディア リード研究所所長の小柴 豊が、B2Bマーケティングの領域におけるソートリーダーと語らいます。
記念すべき第1回は、マーケティングオートメーション(MA)ベンダーの代表的な存在であるMarketoの会長兼CEO フィル・フェルナンデス氏をゲストに迎え、進化するマーケティングテクノロジーとこれからのビジネス戦略、特にVista Equity Partnersによる買収後について話を聞きました。
日本市場参入から2年を経て
![フィルさん](https://image.itmedia.co.jp/mm/articles/1608/29/phil.jpg)
フィル・フェルナンデス
2006年のMarketo共同設立以来、Marketoがデジタルマーケティングテクノロジーのトップ企業となることを目指し、自ら製品ビジョンやユニークなマーケティング戦略および営業戦略を実行。Epiphanyで代表取締役およびCOO、Red BrickのCOO、その他数社でアドバイザーを務める。2012年にはあらゆる企業において売り上げの拡大を実現できる営業とマーケティング改革の手法をまとめた『Revenue Disruption』を上梓。スタンフォード大学にて歴史学士号を取得。
小柴 Marketoが日本法人を設立して2年が過ぎました。これまでの振り返りを含め、現時点の事業の進捗(しんちょく)について思うところを聞かせてください。
フェルナンデス この2年間のビジネスにおける私たちの経験は素晴らしいものでした。当初、時期尚早という声もある中で日本市場に参入したのは、私たち自身がインバウンドマーケティング(※1)を実践する上で、日本の企業から多くの関心が寄せられていることを認識していたからです。実際、キヤノンやパナソニックといった日本の多国籍企業から、Marketoは日本で事業を行っていないのかと質問を受けていました。Marketoの考え方を常に発信していたことで、ブランドの認知度は高まっていました。そして合弁で事業を立ち上げてから、福田(※2)が率いる日本のチームはずっと毎四半期の予算を達成しています。現在、日本におけるMarketo導入企業は300社以上に増えました。昨日のイベント(※3)に集まったのは2200人。日本ではまだ小さい会社ですが、これほど関心が寄せられているのです。
※1 自社の発信する情報を興味や関心のある人に見つけてもらい、リードを呼び込み、スコアリングして営業に提供し、ロイヤルカスタマーに醸成するような、企業と顧客の関係性を中長期的に構築するマーケティング手法。
※2 日本法人であるマルケト社長の福田康隆氏。
※3 2016年7月6日にマルケトが東京で開催した「The Marketing Nation Summit 2016」
小柴 確かに大盛況でしたね。米国開催では6000人を動員したと聞いていますが、2年間でここまで来たのはすごい。
フェルナンデス 米国では既に多くの顧客がいて、それが参加者にも含まれますが、日本ではほとんど見込み客だけでこの数字というところが大きく違います。マーケティングのイベントですから、未来の顧客がこれだけ集まるというのは、とてもエキサイティングなことです。また、イベントの登録者数となると4000人を超えます。B2Bのイベントで登録者の数が参加者と同様に重要な意味を持つことはお分かりですよね。
小柴 御社のインサイドセールスチームは一段と忙しくなったでしょうね(笑)
フェルナンデス そこはMarketoを使って効率的に(笑)。ここでも私たち自身がショーケースとなるでしょう。
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