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日本マイクロソフトとソフトブレーンの事例に学ぶインサイドセールスの効果【連載】営業の生産性を向上させる「インサイドセールス」活用術 第2回(1/2 ページ)

営業の生産性を向上させるための「インサイドセールス」。本連載ではインサイドセールスの効果や導入までのプロセス、効果的な活用方法などをお届けします。

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 前回「その訪問、本当に必要ですか? SFAとCRMの間にある落とし穴を回避するには 」は、SFAとCRMのギャップを埋めるためのインサイドセールスの役割と、そして北米での導入状況について紹介しました。さて今回は、日本国内においてのインサイドセールス導入事例と効果、そして、さらにインサイドセールスの効果を上げるための組織作りについて書いてみたいと思います。

日本国内のインサイドセールス導入事例とその効果

 前回の記事で紹介した通り、北米では以前よりインサイドセールスは導入されており、さまざまな効果や成果を見ることができます。インサイドセールスの導入という点では、日本企業は、北米企業より少し遅れているのも事実ですが、その中でも、日本国内で先進的な取組みを実施して、効果を出している成功事例があります。今回は、その中から2つの事例をピックアップしてみたいと思います。

事例1:日本マイクロソフト

 外資系企業ではありますが、日本マイクロソフトは、国内のIT市場においてインサイドセールスを活用して営業成績を向上させ、売り上げを高めることに成功しています。同社のインサイドセールス部門はもともと、さまざまな部署に分かれて少人数で活動していたテレセールススタッフを、7年前に統合・集約して組織されました。2014年時点では既に約150人のスタッフが活動する大きな組織となっています。

 インサイドセールスの導入メリットの1つに、スタッフの教育コストの削減があります。1カ所で集まってインサイドセールスをするスタッフへの教育を行うため、顧客との会話や対応などをその都度修正することもできますし、それを他のメンバーに共有することも簡単にできます。こうした改善によって、インサイドセールスのスタッフの営業力が早期に標準化され、効果を発揮したと考えられます。

 組織を統合・集約することによる効果を、もう少し具体的に見ていきましょう。まず、かつてはさまざまな部署に分かれていたテレセールススタッフを、インサイドセールスとして一部門に集約することで、コスト面でのメリットを創出しています。前述の通り、同じ部署で業務を行うことによって、重複していたリソースを削減することができるだけではなく、バラバラだったトレーニングが一緒にできるなど、間接コストも削減できました。トレーニングに要する時間が大幅に削減されたと言って良いでしょう。

 次に、営業の標準化にもメリットがあったようです。これまで部署ごとに独自で行われていた業務プロセスを比較・評価し、それぞれの良いところを採用しながら標準化を図ることができました。また、同じ業務を行う仲間が一同に集まって作業することで、スタッフ同士が自主的に学び合う機会も増加していきました。

 顧客対応、セールストークなどを含めて業務を標準化することで、より一層の改善活動も進み、約150人のスタッフが一丸となって、売り上げ向上に貢献していったことがうかがえます。

事例2:ソフトブレーン

 事例1で取り上げさせていただいた日本マイクロソフトのように、外資系企業が本国の成功事例を参考に取り組む場合もありますが、実は日本企業の中でも、独自に先行してインサイドセールスを導入し成功した事例があります。営業支援システム「eセールスマネージャーRemix Cloud」を主力製品として、顧客の営業課題を解決するための各種サービスを提供しているソフトブレーンはその1つです。

 同社がインサイドセールスを導入した目的は、バックスタッフが営業を支援することで、訪問する営業担当者が、本来求められる提案やクロージング活動に集中できるようにすることでした。営業担当者のメインの仕事は商談ですが、従来の営業体制ではテレアポや見積もり作成、業務処理に多くの時間が取られていました。そうした問題を解決するために、インサイドセールスを担当する「営業企画支援部」を設置しました。特筆するべきは、インサイドセールスを担当するスタッフ全24人のうち15人はアルバイトであるということです。電話でのアポイントの獲得や、事前資料の準備、見積書作成などのノンコア業務は、標準化、マニュアル化すればアルバイトでも十分できるとの考えで、業務を徹底的に分解、整理していったそうです。そして、マニュアルを完成させました。

 現在、同社では、アルバイト1人につき月間60〜70件のアポイントを取っているとのことで、非常に驚かされる数字です。

 このような“分業”を通じて、ソフトブレーンはスタッフの人数を増やさないで成果を上げる仕組みをつくり、これを効率化し、営業生産性向上を実現することができました。今後はさらにオンライン商談システムも活用し、インサイドセールスのスタッフが契約の締結まで担当することを目指しています。

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