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コラム

テクノロジーの進化で個客マーケティング時代が幕を開ける【後編】転換期を迎えた企業のデジタルマーケティング(2/2 ページ)

前回は、企業がデジタルマーケティングの進化によって、1. 顧客をマスではなく「個」で捉え、2. それぞれにコンタクトポイント構築が可能になり、顧客一人一人に最も効果的な提案=「個客マーケティング」を実践できる環境が整ったことを説明した。今回は、個客マーケティングへの取組み実態とトレンドについて、お伝えしたい。

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矢野経済研究所 ICTユニット
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個客マーケティングのトレンド 〜ECの接客におけるデータ活用の現状

 ここで、EC業界で注目を集めているマーケティングテクノロジーについて、紹介しておく。

 先ごろ、マーケットレポート「ECサイト構築/運営代行市場の実態と展望」を発刊したが、主要EC構築事業者の間で、注目を集めているEC関連テクノロジーが「ウェブ接客サービス」であった。代表として、プレイド社「KARTE(カルテ)」とSocket社 「flipdesk(フリップデスク)」などが挙げられた。

 ECサイトなど、ネットにおけるマーケティングには「集客」と「接客」、そしてリピートを促進する「追客」という3段階があるとされ、このうち「接客」に注目したものである。

 EC利用者が増加する一方で、検索などに不慣れで、目的の商品にたどり着けないユーザーが増加しており、また、スマートフォンからのアクセス増加はEC事業者側にとっては提供できる情報量が制約を受けることにもつながっているとされている。

 このような状況の中で、商品に関するユーザーの疑問や不安をオンライン上で解消し、個々のユーザーに合わせた情報提供を可能にするのがウェブ接客サービスである。

 具体的には、タグをサイトに埋め込むことによって、スマートフォンおよびPCサイト上で、訪問者の行動履歴などを自動解析し、チャット招待やクーポン発行、メッセージ配信などアクセスした顧客に応じて表示する情報を変え、最適な接客・販促の提供を可能にするものである。

図表
ウェブ接客サービス例(矢野経済研究所作成)《クリックで拡大》

 今回紹介したオンライン接客サービスでは、ECサイト内に新たなタグを入れることで、顧客DBとアクセス解析系のデータをひも付け、アクセスしているさなかにそのユーザーが誰でどのような嗜好性があるかを特定しアクションを起こすことが可能となる。

 「顧客DB」と「アクセス解析系データ」の結合により、EC事業者では個客マーケティング施策のバリエーションが格段に増えていくことが予想され、ECにおけるユーザーの利便性と満足度を高め、ファンを獲得する新たな販促手段として期待されている。

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