Instagramの企業活用、利用者に“ドン引き”されない作法:【連載】熊坂仁美の「Instagramをビジネスに活用するヒント」 第2回(1/2 ページ)
2015年10月からスタートしたInstagram広告。若年層へのリーチを求めて早速さまざまな企業が出稿を開始している。しかし、“場違い”な広告も目立つようで……。
2015年10月から、これまで限られた企業しかできなかったInstagram広告が全面開放となりました。Facebook同様「運用型広告」、つまり企業規模に関係なく設定予算に応じて出稿できるタイプの広告であるため、活用企業が一気に増えました。
それに伴ってちょっとした混乱が起きました。Instagramというオシャレな場にはおよそ似つかわしくない広告がちらほら出てきたのです。
例えば、私のフィードには、「このだらしないカラダを何とかしたい」の文言とともにダイエット食品の広告が“使用前”の写真とともに表示されました。
Instagram広告で起きた少々残念な出来事
実際のスクリーンショットを載せるのは控えますが、バナー広告でよく見かける「こんなふうになりたくなかったら」というものを想像していただけたらと思います。極端に肥満した女性がうつむいて(体重計を見ているのでしょうか)驚きのあまり手で顔を覆っている写真です。広告主には誰もが知る大手企業の名前がありました。他のメディアと同じ素材をInstagramにも出稿しただけかもしれませんが、利用者としては強烈な違和感を覚えるものでした。
大抵の利用者がそうであるように、私も「良い刺激」や「非日常性」や「夢」を求めてInstagramを利用しているので、美しい写真を投稿する人しかフォローしていません。いきおい有名ブランドやセレブリティ、フォトグラファーなどが多くなるわけですが、そうした人たちの美しい写真の間に、この悪趣味な広告が割り込んでいたのです。すぐに「非表示」にしましたが、それだけでは飽き足らず、抗議のコメントをしてしまったぐらいです。
実際、私と同じような体験をしている人も少なくないようです。Twitterで「インスタ 広告」と検索すると利用者の不満ツイートがたくさん出てきます。「始めよう新しい出会い」とか「全品300円」「バレずに借りれるカードローン」などの文言をかぶせた、およそInstagramにふさわしくない広告画像に多くの人がいら立っているのです。「美しい世界観が台無し」「ハッとして殺意が芽生える」「Instagramで強制的に見せられる広告には夢がない」など、不満の声を挙げればきりがありません。
Instagramの利用者は、お気に入りのアカウントを見つけてはフォローして、気に入らなかったらフォローをはずして、時間をかけて自分の世界を作ります。そこに突然、趣味の悪い広告が割って入ってくるのですから、怒り、戸惑うのも当然です。
企業も「コミュニティーに参加している」という意識を持とう
Instagramの広告は、インフィード広告といって、ユーザー投稿と同じフォーマットで表示されます。ポップアップ広告のようにユーザー体験を邪魔して嫌がられることなく、1つのコンテンツとしてスマートに表示されるのです。そこがInstagram広告の大きな魅力であり、メリットであるはずなのに、そのメリットを理解せず、わざわざフォーマットを台無しにするようなクリエイティブを使う広告主(もしくは広告代理店)が多いのは、とても残念なことです。もしかしたらInstagramを一度も見たことも使ったこともない人が広告を作っているのではと疑ってしまうくらいです。
もちろん、これは過渡期の混乱のようなもので、質の悪い広告は自然淘汰されていくと思います。実際、この原稿を書いている10月25日現在、私のアカウントにはそういった場違いな広告は出ていないので安心しています。
この一件であらためて分かったことは、「Instagramはコミュニティーである」ということです。それも、センスのいいものやクリエイティブなものが好きな人が集まる良質のコミュニティーといえるでしょう。
Instagramという4億人が集まる大きなコミュニティーの中に、趣味や関心、感性の合う人たちが集まる「見えないコミュニティー」が無数に存在しています。企業が利用をする際にも、まずはそうした「コミュニティーの一員になる」という意識を持つべきでしょう。その上で、自社ブランドのコミュニティーを作っていければ、Instagramはビジネスの頼れる味方になることは間違いありません。
今回は、Instagramでのコミュニティー作りに成功している企業事例の中から1つの例をご紹介します。
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