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第11回 サイレント・マジョリティの覚醒――口コミ効果最大化のために【連載】海外事例に学ぶマーケティングイノベーション(1/2 ページ)

口コミは認知獲得における費用対効果を倍増させるだけでなく、ブランドへの親近感醸成という点で費用対効果を飛躍に伸ばす。オグルヴィ・アンド・メイザー「2013年度グローバル口コミ調査」から口コミの効果を読み解く。

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インターネットの口コミ戦術は始まったばかり

 マーケターの使命は人の行動を変化させることだ。ブランドへの認知や親近感を醸成し、製品/サービスの購入、リピートといった行動につなげる。さらに、ブランドやグループが展開する他の製品やサービスを利用につなげ、顧客価値を最大化することも重要なミッションである。

 2010年代に入り、ソーシャルメディアの広がりとその影響力の増加を受け、マーケターには新たな課題が課された。そう口コミの拡散だ。当然、インターネットが世の中に浸透する以前にも口コミを活用したマーケティング手法はあり、口コミを上手に活用して市場シェアを向上させたり、新しいカテゴリーを市場に根付かせて産業リーダーとなったブランドも数多くする。

 しかし、インターネットが浸透する前は、そうした手法を利用するカテゴリーは限定的だった。口コミ戦術活用の理由も、膨大な広告宣伝費が捻出できない展開初期のブランド、もしくは、比較的市場規模の小さい事業ドメインブランドに限られていた。スピード感ある市場でシェアを伸ばすことが可能な、つまり、そうした広告宣伝費の予算を大きく取れるブランドは、こうした口コミ戦術には注力してこなかった。

 理由は数多くあるが、その1つとして非効率性があげられる。高度成長経済時代のマス広告は、認知拡大、市場シェア獲得を容易にした。そして、市場シェアが獲得できれば、良くも悪くも口コミは勝手に拡散していった。マス広告が口コミの後押しをした。マーケターの目的はいかにリーチを稼ぎ、認知度を上げるかである。口コミはその結果であり、口コミを目的としたコミュニケーション戦略を描く必要はなかった。

 しかしながら時代は変わり、今では、オンライン、特にソーシャルメディアでの口コミ効果の最大化は、マーケターにとって最重要課題の1つになった。このことは、カンヌ受賞作品からも読み取れる(受賞作品の傾向については「第10回 2013年カンヌ広告祭に見るトレンド(前編)」の記事を参照いただきたい)。理由はシンプルだ。インターネット上の口コミは、認知獲得における費用対効果を倍増させるだけでなく、ブランドへの親近感醸成という点で費用対効果を大きく飛躍させる。つまり、口コミを上手に活用したコミュニケーションが、マーケティング効率を上げることに直結するのだ。

 2010年代のマーケティング戦略は、これまでのやり方に加え、インターネットで口コミをどう生むかではなく、良い口コミを発生させ、インターネットで拡散させるために、オンライン、オフライン、店舗、屋外広告、もしくは、販売パートナーも含めたコミュニケーション全体をどう展開すべきかという軸へシフトした。口コミ効果の是非が市場でのブランドの競争力の是非に直結していると言えるだろう。

 しかし、こうしたインターネットの口コミ戦術は始まったばかりだ。そもそも、口コミの本質を明確に提示した文献が少ない。口コミとは何か。何が口コミを発生させる要因なのか。また口コミをする消費者のインサイトは何か。そしてマーケターは何をすべきか。こうしたマーケターの疑問に答えるべく、オグルヴィ・アンド・メイザー(以下O&M)は2013年にグローバル規模で「ソーシャルメディアにおける口コミの実態調査」を実施した。

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