トレンド総研、会社員500名を対象に「仕事とソーシャルメディアに関する調査」を実施:津田氏に聞く
生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研は5月21日、会社員500名を対象にした「仕事とソーシャルメディアに関する調査」の結果を発表した。
現在、ソーシャルメディア上でどのような情報が発信されているかを調べる「ソーシャルリスニング」が、マーケティング手法の1つとして注目されている。これを受け、実際のビジネス現場で活躍する会社員が、ソーシャルメディアをどのように活用しているかを調査するとともに、ソーシャルメディアリスニング機能を提供しているセールスフォース・ドットコム、またソーシャルメディアに詳しいジャーナリストの津田大介氏に、ソーシャルリスニングについて取材したという。
まず会社員のSNS利用状況については、
- 会社員の2人に1人(55%)が、週1回以上、SNSを閲覧している
- そのうち7割が、「仕事中にSNSを閲覧している」が、一方その成果を仕事に活かせているというユーザーは3割未満(28%)
という結果だった。具体的に、どのような点で仕事に貢献したかについては、「顧客の声を聞く」「イベントの告知をしている」「職場のコミュニケーションが取りやすくなった」などの回答が得られたという。トレンド総研では、「情報収集/発信から社内外の人間関係の構築/円滑化と、SNSが活躍する場面は様々で、かつ、多くの人にとって必要な内容である」ということを踏まえ、今後、仕事においてSNSを活用したいというビジネスマンは「増加していく」と見ている。
ただ、ビジネスにおいてソーシャルメディアを上手に活用するには、情報収集/選定/分析を含む高いリテラシーが必要となる。これは個人でも、あるいはソーシャルメディアアカウントを持つ企業でも同じことだ。
トレンド総研が、ソーシャルリスニングツールをクラウドで提供しているセールスフォース・ドットコムへヒアリングしたところ、「日本では現在のところ、導入率は決して高くない」(セールスフォース・ドットコム)という答えが返ってきたという。だが今後、「ソーシャルリスニング」という分野が認知されるに伴い、「国内ユーザーも急速に拡大していくのでは」と見ている。
ジャーナリストの津田大介氏は、ソーシャルリスニングに関するトレンド総研の取材に対し、「日米を比較した場合、言語の特性や、人々のソーシャル行動の傾向を踏まえると、日本のソーシャルメディアは概して情報量が多く、他人にとって有益な情報がやり取りされている。そのため、日本国内におけるソーシャルリスニングの有効性は明らかといえる」と回答。例えばインターネット上で信頼性高い本物のクチコミを探すのであれば、Twitterは非常に有効なプラットフォームであり、実際に消費者自身がTwitterの話題をきっかけとして商品を購入することも多い。津田氏は、「消費者自身が参考にする情報なのだから、企業がその情報を収集しない手はない」と述べている。
その一方で、「ノイズを排除し、有益な情報を得るには、フォローしているインフルエンサーの属性を分析するなど、冷静な対応も必要」(津田氏)との注意も促しており、ソーシャルリスニングのスキル・ツールの向上が、今後ビジネスにおけるSNSの活用課題となりそうだ。
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