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位置情報の活用による購買、行動体験のロードマップを発表、野村総研O2Oマーケティング

野村総合研究所(NRI)は11月27日、2017年度までの「位置情報の活用による顧客/生活者向けサービスの進化と、そのインパクト」を予測した「ITロードマップ」を発表した。

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 現在、位置情報サービスは、グーグルやアップルのようなプラットフォーム業/地図データ事業者に加え、小売り/サービス業にも広がりを見せている。例えば「自社店舗の近くに滞留しているユーザーにスマートフォンを通じて、その場限定のクーポンを送る」などのサービスを提供している企業もある。「今後は測位技術の進化によりGPSが有効な屋外だけではなく、ビルや商業施設などの屋内でも、正確な情報提供、ナビゲーションサービスが実現してゆく」とNRIは予測する。


位置情報の活用による顧客/生活者向けサービスの進化のロードマップ

2012〜2013年度:位置情報連動クーポンを中心とした実店舗への誘導サービスの始まり

 先進的な小売業では、会員が持ち歩くスマートフォンに内蔵されたGPSを活用し、位置連動クーポンの配布サービスを開始している。これまで、ユーザーの位置を把握する方法はGPSなどに限られ、測位の誤差が数百メートルから数キロあるようなケースもあった。近年無線LANの電波、超音波などを用い、サービス会員のスマートフォンが特定の場所に「近づいたことを検知」する技術が登場している。また、すでにGoogle Mapsなどで、大都市圏の駅、大型商業施設などで屋内の地図が作成されている。これにより、ユーザーが店舗の近くに来たり、店舗の特定の陳列棚に「近づいたことを検知」し、来店クーポンや入店ポイントなどを提供するといったサービスが可能になりつつある。

2014〜2015年度:ジオフェンシング(チェックインの自動化)による位置情報活用の高度化

 次世代の位置情報サービスとして、サービス会員が事前に設定された特定のエリアに近づくと自動的に最新情報やクーポンを企業側からスマートフォンにプッシュ配信する、「ジオフェンシング(チェックインの自動化)」のサービスが普及し始める。地図上に仮想のフェンスで囲んだエリアを設定し、ユーザーのスマートフォンがエリアに入ると自動で情報やサービスを提供することが可能となる。

 さらに、2014年に本格的な運用が予定されている日本の準天頂衛星を用いた測位システムでは、屋内にGPS衛星と同じ位置特定用の電波を送信する送信機を設置する仕組み(IMES:Indoor Message Service)が予定されている。IMESのような屋内ナビゲーションを使い、屋外/屋内に限らずユーザーの位置を正確に把握し、建物内の店舗へのナビゲーション、探している商品が置かれている陳列棚への誘導、関連する商品の推奨などが可能になる。ただし実現には、屋内の地図データの作成や、商品の棚割データと屋内の地図データとの連携といった仕組みが必要。

2016〜2017年度:ロケーションインテリジェンスの実現

 O2Oサービスの実現と普及を通じ、多くの生活者の位置データが蓄積され、ユーザーの位置データを他のデータと組み合わせて分析/活用する「ロケーションインテリジェンス」が新たな価値を生み出す段階に至る。例えば、ある都市で生活者の移動の軌跡を統計的に解析し、時間帯ごとにどのようなエリアに人が集中するのかが可視化できる可能性がある。このデータと位置情報以外のデータ(天候/気温、その時間帯のイベント情報や、そのエリアに展開する店舗での売り上げデータなど)とを組み合わせて分析すると、複雑な環境条件に合わせた予測も可能になる。企業にとっては、データに基づいた商圏分析やサービス展開の計画が可能になり、公共分野では都市計画の高度化、防災計画などに活用することができるようになる。

 また、ユーザーにとっては、ロケーションインテリジェンスによる分析結果と自分の日常の購買履歴やネットの閲覧/検索履歴、ソーシャルメディアへの投稿などと合わせて活用し、これまでにない“その場に応じたおもてなし”を享受できるようになる。例えば、「旅行で初めての場所を訪れた際に、興味の対象や日常の行動が自分と同じような人がよく行く観光地やレストランなどを案内され、関心を持ちそうな商品がある店舗の紹介を受ける」というコンシェルジュのようなサービスが実現されるとNRIは予測する。

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